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2020.06.17 /
第51回:古民家カフェの杉柱
こちらは渡邊工務店飛島本社吹抜けロビーにある杉柱です。 高さは10mくらいで3階建ての高さです。存在感があり渡邊工務店の象徴です。 本社にご来訪の際はご覧いただければ嬉しく思います。 この杉柱の産地は長良杉で、岐阜県長良川の川上エリア郡上郡の地域産材です。長良杉は、その木目の美しさに定評があります。 白身と赤身が混在したものは、源氏と平家の旗色にちなみ「源平」と呼ばれ、その美しさも長良杉の魅力で手触りはきめ細かで柔らかです。最近では大府平屋展示場で源平杉を使用していますので展示場で体感頂ければ幸いです。 ところで先日、神戸の山里にある古民家薬膳カフェにランチに行きました。築120年の農家を薬膳カフェの為にリフォームされたとのことです。 その建物は屋久杉の柱で建築された古民家でした。 ローゼン ファームズ カフェ (RAWZEN FARMS CAFE)(食べログ) 開店間もないようですが、趣のある古民家の造作や什器備品の数々は、オーナーのセンスとマッチして素敵なカフェ空間を醸し出していました。 屋久杉は屋久島の標高500m以上の栄養の少ない花崗岩山地に自生し、通常の杉の樹齢は500年と言われているなか、樹齢1,000年以上の杉のみが名のることのできるプレミアムな杉です。 屋久島は雨が多く高地の自生地は厳しい環境の為、通常の杉に比べ半分の成長率しかありませんが、年輪の目が詰まった油脂分の多い質の高い杉に成長し建築材として珍重されました。 中には2,000年以上の樹齢のある屋久杉もあるそうです。ちなみに現在の屋久杉は新規で切り出せないので、より貴重な建築材の建物です。 こちらのカフェの建物で屋久杉の良さ、大工の仕事の良さ、そしてオーナーの趣味の良さを感じました。 (店内情景) 一般の住宅のインテリア空間に当たるところですが、床の間とのマッチ、欄間の設え、昔に先代がお願いして近くのお寺のご住職に揮毫(きごう)いただいた襖、そして様々な小物や什器などが雰囲気のある空間を作っています。 120年も経っているのに隙間や狂いのない屋久杉の柱や造作の収まりはキッチリとしていて、その柱は構造躯体としても化粧材としても存在感と風合いがあります。 良質な木材と120年経っても寸分の狂いもない高い技能と丁寧な大工の仕事は時を経て証明され、古民家が新しい世代に生まれ変わり受け継がれていくことが嬉しく思いました。 渡邊工務店の東濃桧や長良杉等の地域産材を活かした天然木の家も、時代にマッチして何代にも渡って暮していただけたらいいなと感じました。 ■会社情報について詳しくはこちら ■森づくりの活動について詳しくはこちら ■天然木で建てる家について詳しくはこちら ■「天然木の家・快適エコライフ」大府平屋展示場について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら -
2020.06.11 /
第50回:ネットとリアル
6月に入り新型コロナウイルス感染症対策による休業要請の緩和により、経済活動も少しずつ回復していく事を期待しています。 5月のゴールデンウィークの住宅展示場は例年なら一年で最も人出があり、キャラクターショーに良い子の皆さんの歓声があって、とても賑やかですが、残念ながら今年は人の気配のない寂しい情景でした。 しかしながら5月のインターネットからのお問い合わせが昨年の3倍近くあり驚いています。 外出自粛の影響もあるかもしれませんが、インターネットの活用によるリモートワークや在宅勤務によって働き方だけでなく、家族や社会の価値観が変化していくと渡邊工務店の仕事の仕方も変わっていくように思いました。 かつて、百貨店や大型スーパーが「なんでもあるけれど欲しいものが無い」と言われ、業態改革を余儀なくされ、オーナーのセンスが光るセレクトショップや専門店が脚光を浴びるように変化していきました。 SNSによる個人の情報発信の拡散も大きく寄与しているように思います。 大きな宣伝費等の投資をしなくても大手企業と対等以上に戦うことのできる市場が形成されていくように思います。 そして、これからは住宅業界もインターネットの対応を通じて同様の歴史をたどるように思いました。 多額の費用をかけてテレビや新聞広告を行い、総合展示場を運営するような業態からインターネットを通じてオーナーのセンスが光るセレクトショップや専門店のような住宅会社が注目されるようになると思います。 渡邊工務店もホームページを初めとしてインターネットの環境を整備してお問い合わせの皆様にお役に立てるように対応していきたいと考えています。 しかしながら、その時に大切なのはインターネットで検索するお客様の、天然木にこだわる価値観に合った際立つリアルだと思います。 渡邊工務店のインターネットの奥にある飛島本社エリアのリアルを一部紹介します。 ① 自社で検査し番付を行う木材センター ② 実物の天然木の各種板材を吟味頂けるスペース ③リアルサイズの住宅展示場 ふたりVer.2展示場 「マッハ空間」展示場 天然木にご関心のある皆様にご参考頂けるようなリアルをこれからも紹介させて頂きますので宜しくお願いいたします。 ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■ふたりの詳細・展示場予約はこちら ■「マッハ空間」の詳細・展示場予約はこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■オンライン家造り相談について詳しくはこちら -
2020.05.11 /
第49回:ウッドマイレージ
マイレージと言うと、空の旅で航空会社が自社路線の利用者に対して搭乗距離の増加に応じて様々な特典が与えられるシステムが有名です。 マイルを楽しみに飛行機に乗られる方も多いかと思います。 ところで、木材の世界にもウッドマイレージというマイルがあります。 建築材としての木材は生産・伐採地から建築地までの輸送に石油等の化石燃料を使用しているので、大気中に温室効果ガス(二酸化炭素)を排出しながら運ばれてきます。 運ばれる木材の量が多い程、運搬の距離が長い程、輸送の為の燃料の量は増大し環境に対する負荷は大きくなります。 そこで「木材輸送量×輸送距離」を「ウッドマイレージ」として環境負荷を表し、環境についての課題を検討する数値的な指標としています。 こちらのマイルは貯まらないほうが環境に優しいように思います。 「森林林業・林業学習館」のホームページより参照 日本の森林資源は国土の7割近くを占めているのに実際は多くの外国産材を輸入している為、アメリカやドイツに比べてもウッドマイレージが非常に高くなっています。 木造住宅といっても多くの量産型プレハブメーカーや地域ビルダーによっては、プレカット会社から仕入れる集成加工部材を建築現場で組み立てるだけにして大工・職人の技量にかかわらず短期間に均質化された住宅を供給できるような仕組みを作り、工業化製品の様に住宅を手掛けるようになりました。 木材プレカット会社は仕入れた大量の外国産材をその工場で集成材に成型し、その集成材を建物各部位に加工した集成製品を建築資材として住宅会社に供給しているケースが多くなりました。但し、集成材の大量生産や工業化による費用低減効果がウッドマイレージで減殺されるのは残念なことだと思います。 目を向けて頂きたいことは、ウッドマイレージの負担だけでなく昨今の国際情勢と日本の木材産業の環境が外国産材と国産材の価格差を縮小してきていることです。 そう考えると、ウッドマイレージの負担分がない国産材、それも評価の高い地域の東濃桧や長良杉の天然木で建築を検討することは価値のあることだと思います。 しかしながら東濃桧や長良杉の東海地方の地域国産材は天然木を扱う大工・職人の技量が無いとその良さを活かすことができないので、その建築は誰でも扱える仕事ではないと思います。 そして、国産天然木の良さを活かした住宅は工業化製品の集成材で作られた住宅とは違った趣を感じて頂けると思います。 新型コロナウイルス感染症終息後の世界がどうなるのかを考えたときに、まだまだ大変な時ですが、こと環境問題においてはインドや中国で空や空気が清々しくなり、ベネチアの海がきれいになったニュースを見聞きし、ステイホームやリモートワークで家族の価値観や働き方の変化が起こるかもしれないと考えると、 地域材住宅会社としての渡邊工務店は森を守る活動に加え、技量のある大工・職人の仕事やウッドマイレージを通して世の中に貢献していけるのかなと思います。 一日も早い新型コロナウイルス感染症の終息を祈念いたします。 ■天然木で建てる家について詳しくはこちら ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■森づくり活動について詳しくはこちら ■熟練大工の匠の技について詳しくはこちら -
2020.04.27 /
第48回:レジリエンス
最近、住宅の新しい形として「レジリエンス住宅」が各社から提案され、渡邊工務店においてもその取り組みに注力しており、この機会にご紹介したいと思います。 レジリエンスという言葉は私たちの本業である住宅だけでなく、心理学や、経営学・組織災害論などの分野において、広く使われるようになりました。 今般の新型コロナウィルス感染症対策における国や地方行政の対応、渡邊工務店も含めた企業の対応、家族や個人の対応においてレジリエンスの思想は考えさせられるところがあり、商品の紹介を超えてお伝えさせていただきたく存じます。 レジリエンスとは、跳ね返り、弾力、回復力、復元力という意味を持つ言葉です。 ストレスと共に、物理学の分野で使われていた言葉でしたが、近年では個人・組織ともに通用する「さまざまな環境・状況に対しても適応し、生き延びる力」として使われるようになりました。心理学の分野だけでなく、組織論や社会システム論、さらにはリスク対応能力、危機管理能力としても広く注目される用語だそうです。 第二次世界大戦の、ある戦争孤児達の追跡調査において、レジリエンスの思想が広く知られるようになりました。過去のトラウマで生きる気力も萎え経済的にも精神的にも不幸な人生を送る人達がいる一方、それらの苦しみを乗り越え幸せで豊かな人生を送っている人達がいることが調査結果で明らかになりました。苦しみを乗り越えた人達には、どんな困難や逆境もそれに押しつぶされることなく「それらの状況に応じて生き抜く回復力」という共通の傾向があったそうです。 同じような観点で日本が世界中から注目されたのは、2011年の東日本大震災での出来事でした。 大地震による建物倒壊、津波、福島原発事故の災害に見舞われた後も暴動やヒステリックな行動は見られず、落ち着いて、整然と復興に取り組む日本人の姿は世界の人たちを驚かせました。 この様な予期せぬ天変地異や大災害に立ち向かうには国家としてのレジリエンスが必要不可欠だと考えられています。 現在、国際会議であるダボス会議等でもレジリエンスはメインテーマとして採択され、グローバル化が進む現代社会では、今回の新型コロナウィルス感染症のパンデミックだけでなく、かつてのリーマンショックのような経済や金融危機が起きれば、被害が瞬く間に世界中に広がってしまいます。 そんな悪状況の中でも困難を乗り越えて元に回復させる国こそ、強力なレジリエンスという国力を持っていると考えられます。 日本は新型コロナウィルス感染症対策で非常事態宣言が発令されており、個人の活動は様々な不便があり、企業の活動も制限されていて先々の不安は増すばかりです。 しかしながら、日本人にはどんな困難や逆境もそれに押しつぶされることなく「それらの状況に応じて生き抜く回復力」を持っていると考えられています。 今回を乗り越えれば国家、企業、個人のそれぞれのレジリエンス力は更に向上し将来の糧となると思います。 そうなることを信じてもう少し頑張ってみようと思います。 住宅の場合の「それらの状況に応じて生き抜く回復力」の意味でのレジリエンスとは、普段は省エネで快適な暮らしを楽しむことができるが、万が一災害に遭遇してライフラインを断たれても数日間は家で暮らせて災害復旧後も速やかに以前の暮らしに戻ることができる回復力のあることだと思います。 しかしながら、現在の様にステイホームとして自宅に家族で留まり、リモートワークで社会の回復を待っている状態が明けたとき、家族や、会社、社会との関わり方の価値観や行動様式に大きな変化があるように思います。 普段から家に家族といることを大切にし、リモートで仕事や社会とのかかわりもある程度できるようになると災害対策だけでなく、住宅のプランや通勤時間の対応等の心理的なレジリエンス力の高い家が求められるような気がしてなりません。(ご参考コラム:大きなダイニングテーブル) 渡邊工務店のレジリエンス住宅のご紹介 まず、先導事業取組事業として先週完成した、愛知県飛島村のお客様の建物です。 その時のチラシの裏面です。 (ご参考コラム:先導事業の取組) 次は、現在北名古屋エリアで建築中の街角モデルハウスです。 その建物は、上記先導モデル事業に準じた仕様に加えて建物基礎高を通常より高くし、給湯器などの設備機器もその高さに合わせて万が一、水の被害にも対応できるようにしてあります。 建物オープンの折にはお知らせさせて頂きます。 そして、新商品「マッハ空間」です。 全館空調マッハシステムを搭載し、日々の暮らしは快適です。太陽光パネルを屋根貸しスタイルで搭載していますので万が一のライフライン対策の非常用電源として安心して頂けると思います。 現在は世の中の価値観が大きく変化する時期のように思います。 レジリエンスという思想を、住宅を通して少しでも皆様にお伝えできれば幸いです。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら -
2020.04.14 /
第47回:マッハシステムのマッハとは
マッハというと、超音速とかジェット機をイメージしてしまいますがマッハシステムのマッハは少し異なります。渡邊工務店のマッハの正式名称はある頭文字の造語で「MaHAt」です。 フルワードで表すと“Multi air Healthy Air treatment” マルチ エアー ヘルシー エアー トリートメントとなります。マルチとは複数の接頭語で何が複数かというと、建物の各エリアにあるそれぞれの換気グリルとそれに対応する複数のDCモーターのことです。 空調室で管理された空気はその複数の換気グリルとDCモーターにより小温度差・大風量で建物内の空気の流れを維持管理できることとなり、建物の健康的な空気環境そのものを整えていくシステムを実現できることとなりました。 一般的にはエアコン、いわゆるエアーコンディショナーのコンディショナーをあえてトリートメントと表現したのは、ヘアケア製品の違いと同様で、表層的な空気の体感温度の管理だけでなく、室内全体の空気環境そのものの快適な性質を維持しようとするところに大きなこだわりを持っているからだと考えています。 エアコン1台で熱量の管理はするが、空気環境の管理はマッハシステムで対応しています。 温度の管理とともに、空気の質の管理、そしてその空気の流れの管理をしないと室内の隅々までの健康的な空気環境は維持できないと思います。そのことにトライしている全館空調がマッハシステムです。 このことは依然のコラムで紹介させていただいた空気の性質によるところが大きくかかわっています。 また、咳やくしゃみ等で飛散する1㎜程度の通常の飛沫は1分位で落下するそうですが、1㎜の100分の1以下のマイクロ飛沫(NHK NEWS WEBより)は空気がよどんでいるといつまでも室内に漂うそうです。 その対策には室内の換気が大切とのことですが、小温度差・大風量で室内全体の空気を入れ替えてゆくマッハシステムは室内全体換気にも大きく貢献できると思います。 最寄りの展示場や現場見学会のマッハシステムの建物で体感頂ければ幸いです。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら -
2020.03.16 /
第46回:変わらないものと変わっていく物
今世は新型コロナウイルス感染被害拡大により健康被害だけでなく社会のシステムにも影響を及ぼし、大変な状況になっており一日も早い終息を願うばかりです。 私は齢64歳となり住宅の業界で40年近く住宅営業の仕事をしており、家を建てられるお客様と接する仕事をしておりました。 振り返るとバブルの頃やリーマンショックの頃など様々な好況不況の時期を経験してきました。 今思えば山あり谷ありでしたが、それぞれの時に建てて頂いたお客様の現在の暮らしや住宅の寿命という長期的な時間軸で見てみますと今回も乗り切れると信じております。 渡邊工務店は業歴113年となり一貫して天然木にこだわり、天然木の建物の素晴らしさを実現する為、 90余名の自社専属大工による高い技術に裏打ちされた施工体制を守っています。 また地域密着工務店として東濃桧の産地とも連携し、天然木の生産地を守りながら、天然木の建物素晴らしさを愛知県のお客様にお届けできるような持続可能な社会の実現の為のサスティナブルなビジネスモデルを大切にしています。 (蟹江住宅展示場リビング吹き抜け) しかしながら昔から続く伝統にとらわれることなく、天然木の良さを活かすような新しい取り組みにチャレンジしています。 最近の事例を2つご紹介いたします。 まず一つ目は『マッハ空間』という新商品を発売いたします。 お求めやすい価格にこだわりながらも国産桧の良さや、渡邊工務店が推奨する全館空調のマッハシステムを搭載し、国産桧にも、その建物内で暮らす方にも優しい空気環境を実現する建物です。 また、太陽光パネルを10年間の屋根貸しスタイルで搭載している為、太陽光パネル投資資金をほとんどかけないで将来手に入れることができることや、万が一の災害時の非常用電源として対応させるメリットも付加させています。 二つ目はハウスオブザイヤー3年連続受賞の栄誉にあずかったことです。 今回は「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2019」において、優秀企業賞、特別優秀賞、優秀賞、審査委員賞を受賞いたしました。 渡邊工務店は他の住宅会社に譲らない特色として113年の業歴、天然木へのこだわり、自社専属大工による技術・技能の伝承があります。 しかしながら、それらの良さを時代にマッチしてさらに高めるためのチャレンジもしています。 渡邊工務店の代表が常々申していることに「不易流行」があります。 俳句の世界の言葉らしいのですが「不易という永遠に変わらないこと(もの)を忘れず、流行という新しみや変化も同様に取り入れて行くこと」でその新らしみや変化もいずれ不易になっていくという、不易も流行もともに大切なことであり渡邊工務店の仕事にも通ずることであると理解させていただいています。 今回ご紹介した二つの事がまさに不易流行となればいいなと思いました。 エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら -
2020.01.17 /
第45回:マッハシステムが家庭用エアコン1台で全館空調のできる理由
第45回は、マッハシステムが家庭用エアコン1台で全館空調のできる理由についてお話できればと思います。 まず高気密高断熱の建物でないとできません。 その基準は現在UA値で客観的科学的に表せます。 UA値とは、正確には外皮平均熱貫流率といい家の中から外へ逃げる熱の値です。 (上記表は平成25年省エネ基準の中のUA値省エネ基準) 渡邊工務店の展示場や標準的な街角モデルのマッハシステム対応建物は北海道のUA値0.46相当で対応しています。 別の角度から説明すると温度を1度上げたり下げたりするときに1㎡当りにかかる熱量のことです。 W数で表すと1㎡当りの1度の温度変化には1W熱量が必要であり、それがUA値=1.0です。 一般的な2階建て40坪(外皮面積350㎡の場合)で検討してみましょう。 UA値=1.0の場合 350㎡×UA値1.0=350W(温度が1度上下変化するのに必要な熱量) 温度を20度上げたいとすると20度×350W=7,000Wのエネルギーが必要です。 UA値が=0.5の場合 同様の計算式なので3,500Wの熱量で足ります。 よってUA値を1.0から0.5に小さくすればエネルギー(電気代)も半分になります。 UA値0.46にすると3,220Wになります。 家庭用ルームエアコン14帖タイプは4,000W、18帖タイプは5,600Wの能力です。 よって、熱量計算だけならクリアできますね。 しかしながら、一般の家ではUA値のみの数値設定だけではエアコン一台で家全体の快適な暮らしは難しいと思います。 家の中には玄関、トイレ、洗面所、廊下、階段、寝室、子供部屋等など区切られたスペースが随所にあります。 空気そのものも我儘なところがあり、一か所の吹出口から強制的に風を送っても空気の性質のみでは熱を各部屋の隅々まで万遍なく伝えにくい性質を持っています。 また、熱を伝えにくい性質そのものが羽毛布団、ダウンジャケットのような快適性に繋がるのですが、建物の中の空気の流れを管理しないと快適空間を作るには障害となります。 そこをクリアする仕組がマッハシステムの全館空調で、空調室でブレンドした空気を各部屋に取り付けられた複数のDCモーターファンの吹出グリルで小温度差、大風量でゆっくり建物の中を大河の流れる水のように管理するシステムです。 家の中が高原の避暑地のようなさわやかな空間を醸し出すようです。 実は上記の話は先日のマッハシステム社内勉強会の一部抜粋です。 講師は渡邊工務店マッハシステムの達人齊藤常務で、過日バスにての展示場見学会ツアーにおいてモデルハウスでのマッハシステムのセミナーもお客様より大変好評を得ました。 1月19日(日) 22:48~22:54のテレビ愛知「ナゴヤビジネスレポート」の番組内で齊藤常務よりマッハシステムに関連する放送があると思いますので御覧頂ければ幸いです。 (春日井展示場でテレビインタビュー中の斎藤常務) エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら 「天然木の家・快適エコライフ」春日井展示場について詳しくはこちら トピックス「ナゴヤビジネスレポート」について詳しくはこちら -
2019.12.26 /
第44回:着工式
令和元年も残りわずかとなりました。本年はご拝読を賜わり厚くお礼申し上げます。 来年も本年同様のご愛顧をよろしくお願い申し上げます。 ところで、渡邊工務店の建築の実質的な建築工事のスタートは着工式となります。 弊社は注文建築が基本ですので、数カ月間の設計・営業担当とお客様と打ち合わせてきた内容を、いよいよ現場の着工に入る前に改めて確認する作業が必要となります。 過日、着工式で冒頭のご挨拶をさせて頂いたお客様の打合せ風景です。 着工前の確認が必要な理由は注文住宅が請負契約だからです。 一般にモノを買うときは完成品の買うべきモノが有り、代金と引き換えに取引します。 その行為は売買契約の部類で車やマンション、建売住宅はここに入ります。日常生活のコンビニやスーパーの買い物も同様です。 しかしながら注文住宅の請負契約は契約を結んだときに受け取るべきモノがありません。 希望する住宅(モノ)の完成を約束し、お客様と造り手の信頼関係の中で、建物完成に向かって造り込んでゆく契約です。 希望する住宅(モノ)の完成の為の様々な打合せを数カ月にわたって行い、その打合せの内容を改めて確認し、確定して施工現場に受け渡す為の大切な行事です。 これから着工し完成する建物と、着工に至るまで打ち合わせてきた計画内容との齟齬を無くし、想いを反映した建物を造る為、弊社では責任者が立会う儀式として着工式を大切に執り行っています。 もう一つ大きな意味があります。 見積書や図面には記載反映できない棟梁や大工、職人の技量を最大限に活かすことです。 渡邊工務店は図面のプランや見積書・仕様書にある材料だけでなく、それを現実の建物に造りこんでゆく112年の業歴に裏打ちされた棟梁や大工、職人の技量に自信があります。 彼らの仕事が気持ちよくスムースに進められると、建物の出来映えも良いものが出来ると思います。 この時に阻害要因となる問題が2つあります。 まず一つ目は仕事の手待ちです。 現場の作業において、段取りが不明確で現場で戸惑うことが生じること、材料搬入の段取りが悪くて仕事の手が止まってしまうことです。 もう一つは手戻りです。 打合せしたことと工事の内容に違いが生じてやり直しになる場合です。 どちらも費用と手間と時間がかかり気持ちも前向きにならないので勿体ない話です。 そんなリスクも最小にする為に儀式としての着工式を行っています。 改めて申し上げます。 渡邊工務店の直営システムや木材の直接仕入れと品質管理、そして90余名の自社専属の棟梁や大工の技量が最大限建物に反映されるためにも、着工式の意義を私達は大切にしています。 お客様によっては本社での着工式の折に、木材センターで実際に使う柱や、天然木のカウンター材の手触りを体感されてご覧になることもあります。 (第一木材センターの柱等に使用する東濃桧等の木材) (第二木材センターのテーブルやカウンターに加工する前の木材) 家造りの流れについて詳しくはこちら 徹底した木材管理について詳しくはこちら -
2019.12.10 /
第43回:木視率
先日、ウッドビレッジ内の「天然木の家・快適エコライフ」大府平屋展示場に来場されたご夫婦が、「こんな木の香りと、木に囲まれた家にあこがれていました。」との感想を頂き嬉しく思いました。 しかしながら木の使い方によっては落ち着かなくて不安を感じることもあるそうです。 例えばログハウスは100%に近い木の存在感を感じます。 好みの問題なのでどちらが良いかはさておいて、おそらく来場されたご夫婦の嗜好とはテイストが異なるように思います。 (健康木の住まい ウッドビレッジ総合住宅展示場内大府平屋展示場の玄関) 日本家屋や和室が落ち着きを醸し出すポイントは木視率45%という数値にあると言われています。 木視率とは室内を見渡した時、木が見える割合のことです。 日本家屋や和室に落ち着きを感じる人達は、その木視率が50%を超えると木部が多くてクドイ、うっとうしい、落ち着かないと不安を感じてしまう人が多くなるようです。 もし、渡邊工務店の展示場をご覧になって落ち着きを感じられたらその要因は木視率かもしれません。 新築住宅を検討されるときにプランだけでなく木視率も念頭に置いて考えて頂ければ嬉しく存じます。 「天然木の家・快適エコライフ」蟹江展示場のリビングと和室で木視率を計算してみます。 リビングと和室の木視率はどちらも45%で、落ち着きや安らぎを感じられる理想的な数値になっています。 住宅展示場や名所旧跡の日本家屋をご覧になるときに、木視率45%を気に留めて頂ければ幸いに存じます。 「天然木の家・快適エコライフ」大府平屋展示場情報はこちら 「天然木の家・快適エコライフ」蟹江展示場情報はこちら -
2019.11.13 /
第42回:賃貸入居から注文住宅を希望する方へ(間取りプラン編)
第41回:賃貸入居から注文住宅を希望する方へ(資金プラン編)の続編です。 ご夫婦のお住まいの賃貸マンションの概要をあらためてご説明します。 間取りは3LDK 18坪(60㎡) JR弥富駅まで徒歩8分 電車で名古屋駅まで20分位です。 家賃は管理費、駐車場込で8万円 ◆現在ご入居賃貸のマンションプラン 家の規模や間取りプランをお聞きしても、住宅展示場は素敵な空間で憧れるけれど生活感もなく豪華で大きすぎて、今までのマンション暮らしとの比較では具体的なイメージが湧かないとのことでした。 そのままプランのお話を進めてもどうかと思い、新しい希望を大切にしながらも、今お住まいのマンションをベースにして考えてみませんかとお話致しました。 その時に、現状と比べてどうしたいのか、間取りや住宅設備だけでなく土地形状・大きさ・道路付け、価格、公園施設、自然環境、通学・通園環境、通勤交通環境、ショッピング環境、周辺の居住世代環境、行政・銀行・病院のサービス環境等のご希望の優先順位と、どうしても優先順位では決めきれない場合の為に、視点を変えてあきらめの優先リストの順位を具体的に検討してほしいとお伝えしました。 後日打合せ: 今後の打合せの指針となるボリューム感をつかむ為のプランです。 建物規模は延床面積(坪)32.5坪です。 仮にプラン配置を土地の南北長さ13.5m、東西長さ10mの長方形で面積41坪(135㎡)で検討すると、建物の南北が芯々寸法7.28m、南面側7.28m、北面側8.19mなので、南側の庭先は4m以上、車は2台駐車することができると思います。 道路付けは南道路、東道路、西道路(反転プラン)、北道路は玄関北側動線変更対応。 今住んでいるスペースをベースに考えたので、思ったよりコンパクトに出来たとのことでした。 下記のようなプランで今後の打合せのスタートと致しました。 プラン1階平面図 ⇒プラン[A]2階平面図⇒プラン[B]2階平面図(二人目の子供に個室が必要になったら) (プラン[A]2階平面図) (プラン[B]2階平面図) ◆“街角モデルハウス弥富”にあるような全館空調マッハシステム搭載型にする場合は、2階北側4.5帖をマッハシステムの空調スペースと洋室3帖に設定します。 2階トイレは洋室3帖を2帖に変更して設定可能です。 (マッハシステム搭載空調室設定プラン) (初回プラン打合せの内容) 1階LDKは16帖で現在のマンションより空間的にも余裕が持てて、希望する大きなダイニングテーブルを置けると思う。 大きなダイニングテーブルがあると食事は勿論、子供の勉強や、読書や趣味の編み物など常に家族の気配が感じられる空間ができると思う。 友達も気の置けない人達なので、ワイワイガヤガヤ大きなテーブルで楽しく過ごしたい。 だから応接セットはいらない。 小さな子供たちの遊ぶ場、アイロン掛けや洗濯物の整理、来客の宿泊スペースとして4.5帖の和室を多目的スペースとしてLDKに隣接して用意したい。 夫婦の部屋は二人になれる空間として大切にしたいので12畳くらい欲しい。 ベットルームとしてだけでなく音楽を鑑賞し、ナイトキャップのお酒を嗜むことのできるセカンドリビングとしても寛げる空間にしたい。 今は1才の長男ひとりですが、将来子供は2人くらいいるといいなと思う。 子供部屋は6帖を一室用意して将来に備える、もし2人目ができて子供部屋が2つ必要になる場合は12.5帖の夫婦の部屋を、8帖と6帖に分割して対応する。 かなり先の話になると思うのでそれまでは現在の間取りで楽しく暮らしたい。 建物ボリュームと土地の大きさや希望条件のイメージがつかめたので、これから正式に、土地情報と細かいプランの希望を入れた、オンリーワンの注文住宅を考えていきます。 当初のイメージでは漠然と40坪位の家になるのかなと思っていらしたようです。 土地も大きさも今回の打合せで40坪くらいの大きさがあれば希望の庭やカーポートスペースが取れると理解できて安心されたようです。 限られた土地購入予算の重点は土地そのものの大きさよりも、利便性や就学環境に重きを置きたいとのことでした。 プランがシンプルでコンパクトにまとまれば建物が使いやすく、維持管理も楽になり総建築コストも抑えることができ、暮らしに余裕が生まれていくと思います。 昨今は平屋建ての家が若い世代にも人気があるのはそんな時代の流れかもしれません。 上記検討プランは、建物延べ床面積(坪)がおよそ33.4坪と、土地の大きさ(坪)がおよそ44.7坪の街角モデルハウス弥富(分譲モデル)と同規模のシンプルな建物なので、実際にご覧いただくとイメージがよりつかみやすいと思います。 また、渡邊工務店は高断熱、高気密住宅にマッチする全館空調マッハシステムの搭載をお勧めしていますので、住んでから暮らしの質を高める為にもマッハシステム搭載の予算化を頂ければ有難く存じます。 その為に今回の街角モデルハウス弥富キャンペーンとして建物外周5寸の柱と120mm吹付断熱仕様のキャンペーン価格ご提供を限定5棟で実施しています。 ご検討いただければ幸いです。 ご参考 第41回:賃貸入居から注文住宅を希望する方へ(資金プラン編)はこちら 第10回:美人になる家はこちら(プランづくりのご紹介) 街角モデルハウス弥富はこちら