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2017.11.24 /
第5回:東白川製材協同組合訪問
11月20日の月曜日に東白川製材協同組合に行ってまいりました。 今年一番の寒さの中、工場長に工場を案内していただき、また東濃桧のお話をお聞きして大変有意義なお時間を過ごさせていただきました。 渡邊工務店は天然木で建てる本物志向の家をモットーとしています。 天然木を直接買付、自社で検品し、そしてその木材の特質を見極めながら建物のどこで使用するかの番付を行い木材の適材適所を見極めます。 その木材の仕入れ現場を現地現物主義で行って来ました。 奥の建物が東白川製材協同組合の平屋の事務所です。 地場の17の製材業者、素材業者、森林組合の皆様の方々からなる組合で、東白川村の近在は勿論、下呂や中津川エリアの東濃桧を仕入れて製材されている東濃桧ど真ん中の製材協同組合です。 東白川村は人口がおよそ2400人でその70%が木材関係の仕事に従事され、村の面積の90%が森林で、その70%が戦後に造林された森、30%が天然林とお聞きしました。 かつて造林された桧が切り出しの時期を迎えるようです。 東濃桧は厳しい気候の関係で一人前の桧になるまで60年くらいの時間を要するそうで木目が細かく詰まっています。 白いところが夏の年輪で成長も早く太いです。 濃い線が冬の成長年輪で線のように細いですね。 実は同じ桧でも、四国や九州の桧は温暖な気候の為、年輪の太さが倍ぐらいになり東濃桧の半分の30年位で一人前の桧になるそうです。 ちなみに最近伐採した工場内の杉の木の年輪が、温かいエリアの桧の年輪とよく似ているので参考に見せて頂きました。 こんな感じで太いですね。 和牛なら松坂牛、マグロなら大間のマグロ、桧なら東濃桧というところでしょうか? また東濃の土壌の特性もあり、東濃桧は香りの元となるフットンチッドも豊富に含まれる為、部屋中にいい香りがします。 愛知県で桧づくりを建てるなら東濃桧ですね。 また、東濃桧品質管理規定が厳格に定められ、適合検査に合格した東濃桧にJASマーク(日本農林規格)が付与されます。 自然に育まれた農産物として扱われています。 ちなみに集成材(エンジニアリングウッド)はJIS規格で認定を受けます。 JIS規格(日本工業規格)は工業標準化法で定められ工業化製品が対象です。 よって、木を見るとか適材適所などという考え方とは遠いところにあると思います。 また製材した材木を機械乾燥するのですが、高温乾燥と中温乾燥の2パターンあるそうです。 中温乾燥は60度~70度で1週間位時間をかけてゆっくり乾燥する方法。 ほぼ天然の状態を保ちます。 高温乾燥は120度位で12時間~20時間かけて乾燥する方法です。 中温乾燥は手間がかかる分、木の性質に天然の趣を残しているので、木材にも生きている証で背割りを入れ、フットンチッドも残っているので桧のいい香りがします。 高温乾燥では少し赤身変化し、香りも無くなっていました。 木材に背割りをすることなく使用でき、ある意味で工業製品のような感じに思えます。 実際の建築現場でも中温乾燥の背割り木材は生きているので胴縁を渡して木自体が呼吸して出来る微妙な収縮に対応します。 高温乾燥材は工業製品のようなので、そのようなひずみもなく直貼りで内装工事をしても不陸や内装材の切れなどの心配はありません。 中温乾燥材は手間が掛かりますが、昔ながらの活きている桧の家として末永く住んで頂けるとお思います。 渡邊工務店の注文住宅の建物はすべて中温乾燥材を使用しています。 但し、一部規格住宅に高温乾燥の桧材を使用しています。 上の段の背割り入りの桧材が中温乾燥材で桧の香りも白い木肌も自然な感じです。 下の段の同じ桧でも赤身のある桧材が高温乾燥材です。 本当に木を知るには山に入り、山の人たちがどんな気持ちで仕事をしているかを知り、実際に現地にきて現物の木を吟味することが大切だと思いますが、最近は難しいこととなったのかなと思います。 直接仕入れている工務店では渡邊工務店が断トツの仕入れ高で、ほとんどの住宅会社ではプレカット業者が卸して、そこで加工された木材を購入されるようです。 4月には渡邊工務店のお客様を対象に、実際の植林の体験や東白川製材組合の工場見学のバスツアーも企画させていただいているので、機会があればぜひご参加ください。 徹底した木材管理はこちら 森づくりの活動はこちら -
2017.11.14 /
第4回:生の額縁で紅葉狩り+ボジョレー
紅葉狩りの季節ですね。 朝晩の冷え込みが厳しくなると、紅葉が楽しみになります。 ボジョレー・ヌーボの解禁日、11月16日の木曜日頃が見頃になるのでしょうか? 実は、生の額縁や生の掛け軸があれば、日本の四季を家の中から楽しめます。 絵画のように楽しむなら、四季の中でも紅葉の季節が一番ですね。 ボジョレーを開けて、居ながらにして紅葉狩りでもしてみたい皆様へお知らせです。 島根県にある足立美術館の日本庭園をご存知ですか? アメリカの日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』が、日本の900ヶ所以上の名所旧跡を対象に実施している日本庭園ランキングにおいて、2016年に第一位に選ばれました。 それ以前も14年連続で日本一に選ばれている名園です。 ちなみに2016年度ランキング第2位は京都の桂離宮でした。 その足立美術館の日本庭園の見処の一つに、生の額縁と生の掛け軸があります。 生の額縁は家の中から季節の移ろいを感じられ、よく手入れされた植栽や庭が絵画のように見えるように設えられた窓の仕掛けです。 (足立美術館の生の額縁) 生の掛け軸は、床の間の壁をくり抜いて、建物の向こう側にある白砂青松の庭が山水画の掛け軸のように見える仕掛けです。 こちらは、現地に赴き、生でご観覧いただければ嬉しく思います。 住宅の窓のプランを考えるときに参考になりますね。 実は、渡邊工務店は来年の2月25日(日曜日)オープンを目指して、総合住宅展示場ナゴヤハウジングセンター春日井会場で新展示場を建築中です。 先日、上棟が終わったところです。 天然木は迫力があって秋空に美しく映えています。 玄関の脇に生の額縁のような風情のある窓を設えたのでオープンを楽しみにして下さい。 但し、外の景色はイメージです。 ところで総合住宅展示場巡りをするときには、窓に注目してみると楽しいです。 各社のモデルハウスの良いところ、面白いところ、工夫の技を探してみてください。 例えば、遠く山々や風景が見渡せるところでは生の額縁のように窓を工夫して、室内に四季を取り込むこともできます。 壁面にフレームがかかることにより、外の風景が絵画のようなインテリアになります。 しかしながら、隣家や道路、電柱、電線が視界に入ると少し興ざめですね。 その為の工夫として、 窓を無くして視線を足元に向けるように地窓を作り、照明や枯山水で異空間設計を取り入れたり、壁や生垣で囲い込んだ坪庭で四季の小宇宙を創り、はめ殺し窓で鑑賞したり。 そうです、窓の設計は暮らしの彩りに大切だと思います。 しかし、よくある引き違いサッシ窓だと真ん中に窓枠建具(クレセントがある部位)が邪魔で、どんなに綺麗な景色でも残念ですが絵画のようなインテリアになりません。 こんな窓はいかがですか? はめ殺し窓:おっと物騒な名前ですね。 FIX窓と呼ばせていただきます。 額縁のように綺麗に風景を切り取れますが、窓が開かないので掃除に苦労しますね。 そんな時には窓の真ん中をFIXにして、サイドに開口サッシを付けた窓も有ります。 サイドにカーテンをかけると窓枠建具をオシャレに隠すこともできます。 ピクチャーウィンドゥ: お気に入りの風景を絵画のように切り取って壁面の自由な位置に取り付ける窓です。 四角い窓だけでなく丸窓や変形窓でアクセントをつけてもおもしろいですね。 例えば風になびく樹木の梢と背景の空と雲をリビングから窓越しに眺めたり、お月見専用の窓を設定される方もいらっしゃいます。 その他にも、フルオープンの折れ戸窓、海外でよく見かけるケースメント・ウィンドゥ、オーニング・ウィンドゥ、ダブルハング・ウィンドゥなど、多彩な窓があります。 これらの窓は雰囲気がありますね。 窓を使って絵画のように、インテリアとして風景を取り込む設計も楽しいです。 これからの季節は、窓から見える紅葉があるといいと思います。 四季を感じるには、植栽がポイントかもしれません。 例えばお多福南天の紅葉は、今頃の鮮やかな赤から冷え込むほどに渋いダークレッドに染まります。 これから家を建てるなら、四季を取り込む窓の工夫はいかがですか。 -
2017.11.08 /
第3回:上野天満宮晴明殿の竣工と遷座祭に想う
渡邊工務店は本格木造建築を得意にしています。 先日も名古屋千種区の受験の神様でも有名な上野天満宮の晴明殿の新築工事をさせていただき、その竣工と遷座祭が斎行されました。 この時の式典に列席された設計事務所の先生方がその匠の技と出来映えに感心されて、「渡邊工務店はこちらの棟梁や大工さんを、今回どこから集めてこられたのか?」と問われました。 実は、晴明殿は渡邊工務店の専属の棟梁や大工で規格住宅のふたりなど、請負金額の多寡にかかわらず、普段展示場やお問い合わせ頂いて、ご契約いただいた皆様の建物を担当している渡邊工務店の仲間たちです。 今回の施工のために特別に用立てた棟梁や大工ではありません。 同様に日本芸術院賞受賞の白鳥庭園「清羽亭」の施工や地域の皆様の拠り所となる神社仏閣も数多く手がけさせていただいておりますが、渡邊工務店の専属の棟梁や大工で施工を任せていただいています。 このような実績や技量を見積書に反映させて数字に置き換えることや、他社と比較することは困難で信頼の証となるブランドとして評価いただければ有難く存じます。 そして、渡邊工務店のホームページの施工実績をご覧頂くと天然木で建てたモダンな洋風住宅も数多くあるとご理解いただけると思います。 茶道や茶室に通ずる数寄屋の歴史や心を思いやると、シンプルモダンと通じるところもあり、私の好きなフランクロイドライトが落水荘を施主に説明するときに、浮世絵の北斎の作品の「木曽海道小野ノ瀑布」を見せてコンセプトの理解を求めたといわれています。 同じように渡邊工務店も110年に及ぶ業歴・実績や、社内に蓄えた本格木造建築の施工技術力で、近代的な洋風建築も出来ることを皆様にアピール出来たら嬉しく思います。 -
2017.10.30 /
第2回:土地は住宅のプランで価値が変わる?
初めての土地購入の時、良い土地と悪い土地の見分け方は気になるところです。 建物と土地を含めた建築総予算は、預貯金や、世帯年収などの建築される方々それぞれの資金計画の制約があります。住まいあっての日々の暮らしですから希望の家は欲しいですし、土地については条件によって同じ坪数でも全く価格が変わりますからそのバランスが難しいですね。 不動産業者が土地の評価をする場合は近隣取引事例でその価格を決めていきます。 まず5つの環境ポイントが大切ですね。 アクセス:駅から近い、車で便利、徒歩何分? ショッピング:どこで買い物をするか、どんなお店があるか 教育:保育園、小学校、中学校、が近くにあるか 利便施設:どんな病院があるか、行政機関窓口は、銀行は? 自然環境:大きな公園が近くにあるか、自然に親しめる場所はあるか? 次に3つの敷地ポイントも考えましょう。 土地勾配:南垂れ土地>平坦地>北垂れ土地 道路付け:東南角地>西南角地>南面道路地>北東角地>北西角地>北面道路地 敷地規模:整形の大きな敷地>非整形の小さな敷地 そして、心がけることは自分だけ得する土地の出物はないというところです。 なぜなら、売り手はできるだけ高く、買い手はできるだけ安く買いたいと考えます。 それぞれの希望がオープンな不動産市場でやりとりされ取引価格が決まります。 買い手がたくさんいれば希望売却価格に、そうでなければ希望購入価格に近づきます。 そうすると人気のない土地でも、具体的にどう料理するかで買い手の暮らし方満足度は大きく変わります。 私は土地を幸せな暮らしをするための家を建てる場所と考えます。 不動産業者としてのポイントは大切ですが、敷地条件は建物の工夫や住まい手の考え方で評価の低い土地でもオンリーワンの素晴らしい暮らしができる家を作ることができます。 もし、将来転売する予定で持ち家を考えるなら不動産業者的価値観で土地を選ぶ必要があります。 しかし、終の棲家として家族でずっと幸せに暮らしたいと考えると、家族の想いの詰まった住宅作りをメインに考えて、建築総予算の価値を最も大きくする為に、想いを実現できる土地を選ぶという考え方もあります。 なぜなら、土地取得費を抑えることができれば、様々な工夫を住宅に込めることができるからです。 渡邊工務店は天然木の家で造る本物志向の家をお客様とともに考えていきます。 展示場のスタッフにお声をかけていただければ幸いです。 土地は、一般的には上記のような順番で価格が付きます。 土地を買うということは、環境を買うという意味もあります。 北側道路だから、駅や学校・実家が遠くなるわけではありません。 土地の欠点を建物のプランで解決できる ⇒ 建築総予算の範囲で家を建てる。 間取り(プラン)を工夫しますと、日当たり等、大幅に改善されます。 土地には接道方向によるメリット・デメリットがあります。東南の角地にも欠点はありますし、北側道路の土地には、「割安感があります、庭をプライベート空間にできます、建物は全室南向きのプランにできます」など、メリットがたくさんあります。 -
2017.10.24 /
第1回:2棟並んでお引渡し前の建物内覧会
東海市にて 10月14(土)~15(日)の両日、お施主様のご厚意でお引渡し前の建物の内覧会の開催をさせていただきました。 こちらの内覧会は2棟並んで建てられた建物です。 奥の平屋の建物は自宅としてご年配のご夫婦がふたりでお住まいになる建物です。 手前の建物は規格住宅“ふたり”の家で建てられた戸建貸家の建物になります。 開催日はあいにくの雨模様でしたが50組のお客様に内覧いただきました。 東濃桧をはじめとした天然木の27坪の平屋や、天然木仕様でありながら規格住宅の小屋裏2階建ての28坪の貸家は、若い方からご年配のご夫婦、土地活用を考えてみえる地主の方など多くの皆様に関心を持って頂いたのかなと思いました。 自宅室内は桧をふんだんに使い、八寸角の大黒柱がリビングに存在感を醸し出します、 床材は無垢の樺材で大府展示場と同様ですので展示場でその風合いをお確かめ頂ければ幸いです。 貸家も六寸角の桧の太柱をリビングに設えています。 天井は杉の板張りでアイランドリゾートのヴィラのような趣があります。 個性のある戸建て貸家なので、お引渡しの前にはご入居者も決まっているとのことでした。 自分達でお住まいになるにも、戸建て貸家として賃貸市場にお出しになるにも渡邊工務店の天然木の家は、大きな強みを持っていると思います。 ご興味頂ければ、最寄りの住宅展示場のスタッフにお声をかけていただければ嬉しく思います。