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2020.06.26 /
第52回:竹中大工道具館探訪
竹中大工道具館は竹中工務店が1984年に開設した企業博物館で大工道具を収集・保存することを目的とする日本唯一の博物館です。 世界最大級の旅行コミュニティサイトのトリップアドバイザーで工場見学・社会科見学部門の第2位になったこともあります。 やはり第1位は世界のトヨタ関連です。 新型コロナウイルス感染症以前は日本の文化に関心のある外国の方や、どちらかの棟梁が若手の大工の研修の為なのか、博物館内を案内されているところが見受けられました。 館内は静かで落ち着いた大人のスペースです。 神戸経済ニュースより 博物館には、大工道具だけでなく様々な木材や木造建築に関する展示となっています。 新型コロナウイルス感染症の関係で暫く閉館していましたが、事前予約制で開館しましたので行ってきました。 駐車場に車を止めると立派な門がありその奥に博物館の建物があります。 樹々が茂っていて建物全景が見えませんが、アプローチからは風情のある感じです。 玄関ロビーです。 こちらで館内の写真撮影はOKと言われたので、ホームページの住まいのコラムに載せてもいいかお聞きしたところ、「エッセイのようなものならいいですよ。」とのことでしたので探訪記としてUPさせていただきました。 ロビーホールでは「木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン」の特別展を開催していました。ホールの奥に見える中庭が雨に濡れて綺麗でした。 屋根組の展示です。 軒の仕組は精緻でした。 吹抜けホールにある木組みです。 こちらは数寄屋造りが理解できるエリアです。 土壁の施工方法です。 数寄屋造りの材料は自然のままの皮つきの丸太や竹を使うことが多いです。その木々の展示です。耐久性よりも自然の風情優先です。 様々な木々の木材を理解するコーナーです。 後ろから見た所は、原木感溢れる丸太群です。 オーク、松、桧の順で同じ大きさの立方体を持ち上げることのできるように並べてあります。 それぞれ重さが異なり、木の種類によって性質が異なることが実感できます。 当日はまだ新型コロナウイルス感染症の影響で触れることはできませんでした。 大工道具の展示です。 1943年に行われた調査によると、当時木造建築施工に必要な大工道具は179点、どんなに安普請でも72点は必要のようでした。 本格的な建物に求められる強固な木組みと精緻な仕上げの為に多くの大工道具が必要とされていたとのことです。戦後になると新しい構法や電動工具の普及により大工道具は減少していきます。 渡邊工務店の専属大工の皆さんは社寺や精緻な仕上げを要する和室の施工ができます。 また、持っている大工道具の種類も多いです。これらのことは和室に限らず建物全ての出来映えはもちろん、仕事へのこだわりや丁寧さの尺度でもあるように思います。 木造建築に興味のある方は、機会があれば「竹中大工道具館」を訪れて頂ければ嬉しく思います。 ご案内 映像「大工さんってスゴイ!」 竹中大工道具館【期間限定】 おうちでミュージアムより小学生の子どもたちが建物に興味を持ち、大工さんに出会って道具を体験するお話で、大工さんの仕事や道具を楽しく紹介しています。 ■熟練大工の匠の技について詳しくはこちら ■社寺建築について詳しくはこちら -
2020.06.17 /
第51回:古民家カフェの杉柱
こちらは渡邊工務店飛島本社吹抜けロビーにある杉柱です。 高さは10mくらいで3階建ての高さです。存在感があり渡邊工務店の象徴です。 本社にご来訪の際はご覧いただければ嬉しく思います。 この杉柱の産地は長良杉で、岐阜県長良川の川上エリア郡上郡の地域産材です。長良杉は、その木目の美しさに定評があります。 白身と赤身が混在したものは、源氏と平家の旗色にちなみ「源平」と呼ばれ、その美しさも長良杉の魅力で手触りはきめ細かで柔らかです。最近では大府平屋展示場で源平杉を使用していますので展示場で体感頂ければ幸いです。 ところで先日、神戸の山里にある古民家薬膳カフェにランチに行きました。築120年の農家を薬膳カフェの為にリフォームされたとのことです。 その建物は屋久杉の柱で建築された古民家でした。 ローゼン ファームズ カフェ (RAWZEN FARMS CAFE)(食べログ) 開店間もないようですが、趣のある古民家の造作や什器備品の数々は、オーナーのセンスとマッチして素敵なカフェ空間を醸し出していました。 屋久杉は屋久島の標高500m以上の栄養の少ない花崗岩山地に自生し、通常の杉の樹齢は500年と言われているなか、樹齢1,000年以上の杉のみが名のることのできるプレミアムな杉です。 屋久島は雨が多く高地の自生地は厳しい環境の為、通常の杉に比べ半分の成長率しかありませんが、年輪の目が詰まった油脂分の多い質の高い杉に成長し建築材として珍重されました。 中には2,000年以上の樹齢のある屋久杉もあるそうです。ちなみに現在の屋久杉は新規で切り出せないので、より貴重な建築材の建物です。 こちらのカフェの建物で屋久杉の良さ、大工の仕事の良さ、そしてオーナーの趣味の良さを感じました。 (店内情景) 一般の住宅のインテリア空間に当たるところですが、床の間とのマッチ、欄間の設え、昔に先代がお願いして近くのお寺のご住職に揮毫(きごう)いただいた襖、そして様々な小物や什器などが雰囲気のある空間を作っています。 120年も経っているのに隙間や狂いのない屋久杉の柱や造作の収まりはキッチリとしていて、その柱は構造躯体としても化粧材としても存在感と風合いがあります。 良質な木材と120年経っても寸分の狂いもない高い技能と丁寧な大工の仕事は時を経て証明され、古民家が新しい世代に生まれ変わり受け継がれていくことが嬉しく思いました。 渡邊工務店の東濃桧や長良杉等の地域産材を活かした天然木の家も、時代にマッチして何代にも渡って暮していただけたらいいなと感じました。 ■会社情報について詳しくはこちら ■森づくりの活動について詳しくはこちら ■天然木で建てる家について詳しくはこちら ■「天然木の家・快適エコライフ」大府平屋展示場について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら -
2020.06.11 /
第50回:ネットとリアル
6月に入り新型コロナウイルス感染症対策による休業要請の緩和により、経済活動も少しずつ回復していく事を期待しています。 5月のゴールデンウィークの住宅展示場は例年なら一年で最も人出があり、キャラクターショーに良い子の皆さんの歓声があって、とても賑やかですが、残念ながら今年は人の気配のない寂しい情景でした。 しかしながら5月のインターネットからのお問い合わせが昨年の3倍近くあり驚いています。 外出自粛の影響もあるかもしれませんが、インターネットの活用によるリモートワークや在宅勤務によって働き方だけでなく、家族や社会の価値観が変化していくと渡邊工務店の仕事の仕方も変わっていくように思いました。 かつて、百貨店や大型スーパーが「なんでもあるけれど欲しいものが無い」と言われ、業態改革を余儀なくされ、オーナーのセンスが光るセレクトショップや専門店が脚光を浴びるように変化していきました。 SNSによる個人の情報発信の拡散も大きく寄与しているように思います。 大きな宣伝費等の投資をしなくても大手企業と対等以上に戦うことのできる市場が形成されていくように思います。 そして、これからは住宅業界もインターネットの対応を通じて同様の歴史をたどるように思いました。 多額の費用をかけてテレビや新聞広告を行い、総合展示場を運営するような業態からインターネットを通じてオーナーのセンスが光るセレクトショップや専門店のような住宅会社が注目されるようになると思います。 渡邊工務店もホームページを初めとしてインターネットの環境を整備してお問い合わせの皆様にお役に立てるように対応していきたいと考えています。 しかしながら、その時に大切なのはインターネットで検索するお客様の、天然木にこだわる価値観に合った際立つリアルだと思います。 渡邊工務店のインターネットの奥にある飛島本社エリアのリアルを一部紹介します。 ① 自社で検査し番付を行う木材センター ② 実物の天然木の各種板材を吟味頂けるスペース ③リアルサイズの住宅展示場 ふたりVer.2展示場 「マッハ空間」展示場 天然木にご関心のある皆様にご参考頂けるようなリアルをこれからも紹介させて頂きますので宜しくお願いいたします。 ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■ふたりの詳細・展示場予約はこちら ■「マッハ空間」の詳細・展示場予約はこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■オンライン家造り相談について詳しくはこちら