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2022.06.13 /
第90回:アップサイクル
SDGsの達成やカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡にさせること)の実現に向けた取り組みは企業にとっても今や当たり前で、渡邊工務店も様々な取り組みを行っています。 そのような取り組みの中にアップサイクルがあります。 アップサイクルとは、使われなくなったモノに新しい価値を与えることで、元より価値の高いモノへと生まれ変わらせる取り組みのことです。 ちなみに、古着やタオルを掃除用の雑巾にする場合は、価値が低くなるためアップサイクルに対してダウンサイクルと呼ばれます。 再利用という点ではリサイクルと同じように見えますが、アップサイクルは製品がもたらす「価値」に着目し”新たな価値を生み出すこと”を最大の目的としています。 例えば、以前このコラムでも紹介した古民家をリノベーションして宿泊施設やカフェに再生したケースがアップサイクルになると思います。 “第78回:丹波篠山市福住を訪ねて” 古民家→宿泊施設 福住宿場町ホテル(ホームページよりホテル玄関前と街並み) “第51回:古民家カフェの杉柱” 古民家→カフェ RAWZEN FARMS CAFE(インスタグラムより杉柱の店内) 築120年の古民家を再利用し、現在神戸で大人気のカフェです。 アップサイクルは、廃棄を前提としないサステナブル(持続可能)な経済モデルを実現するアクションであり、アップサイクルで生み出される付加価値によって環境負荷の削減をすることはSDGsに繋がる重要な活動だと思います。 アップサイクルのポイントは、新たな価値を生むためにアイデアやデザインの力が大きく働いていることだと思います。 渡邊工務店はモダンデザインにも通じる数寄屋の心や、他社に真似できない歴史・匠の技そして素材を活かす工務店としてアップサイクルに挑戦しています。 最近の取り組みの一つに天然木を活用したマンションリノベーションがあります。 天然木が心地よい築20年のマンションリノベーション(渡邊工務店ホームページ施工実績より) 機能性が高く、コンクリートのイメージが強い、ややもすると無機質的なマンション空間を、天然木の風合いでリノベーションを行い暮らしの質をアップさせました。 そして古民家再生やリノベーションだけでなく、新築の場合においても、旧家にあった柱や欄間、建具を活用し、新たな意匠や役割を変えて新築工事に再利用しお施主様の想いをのせて趣のある上質な空間にアップさせるケースもあります。 古材を活かしたビルトインガレージのある混構造住宅(渡邊工務店ホームページ施工実績より) このような考え方や施工実績を備えた渡邊工務店でリフォーム・リノベーション、建替工事、新築工事をご検討いただけたら嬉しく思います。 ■渡邊工務店の家造りについて詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2022.05.17 /
第89回:バウハウス
今回はバウハウスを紹介したいと思います。 ドイツ語のバウハウスとは1919年にワイマールに誕生し革新的教育を行った芸術学校のことです。 「建築の家」との意味で初代校長のヴァルター・グロピウスが名付けました。 近代建築の四大巨匠(ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ、ヴァルター・グロピウス)の内ミース・ファン・デル・ローエとヴァルター・グロピウスの2人がバウハウスに関わっています。 バウハウスは1933年ヒトラーのナチスにより、わずか14年間で閉校に追い込まれました。 しかし、その思想は後の世界の建築デザインや工業デザインに大きな影響を与えました。 バウハウスとその関連遺産群は、1996年世界遺産に登録されています。 工芸と美術が合併して発足したバウハウスの初代校長のヴァルター・グロピウスは「芸術家と職人の間に本質の差はない。階級を分断する思い上がりをなくし、職人の新しい集団を作ろう」と呼び掛けました。 大工や職人の確かな技術を重んじる渡邊工務店の一員として嬉しい言葉です。 技術や機能を伝承する職人の心は合理主義・機能主義を重視することになり、バウハウスの中心的な価値観としてその後の工業デザインを進化・発展させる基になったと思います。 「iPhone」や「IKEA」の美しくシンプルで機能性を重視したデザインに受け継がれています。 日本では、グッドデザイン賞に参加するような企業に影響を与えているように思います。 その中にはバウハウスコレクションを所蔵している企業もあります。 バウハウス発祥で私たちの生活の中の使い慣れた家具として有名なものにスチールパイプ椅子があります。 それは1925年、バウハウス出身のマルセル・ブロイヤーがデザインした「ワシリーチェア」から始まります。 マルセル・ブロイヤーは鋼管という素材に注目し、多くの家具をデザインしました。 このアームチェアは自転車のハンドルからヒントを得て鋼管を椅子に使うことを思いついたと言われています。 木彫の重厚なデザインの家具が当たり前な当時、鋼管を屋内用の椅子に使用することは画期的なことで、その後の椅子のデザインに大きな影響を与えた椅子です。 バウハウスの美術教官で画家のワシリー・カンディンスキー(Wassily Kandinsky)が愛用したことから、彼の名を取り「ワシリーチェア(Wassily Chair)」と命名されました。 私がバウハウスを知ったのはワシリー・カンディンスキーの絵画がキッカケとなります。 ポスターを額に入れて部屋に飾っているほど気に入っています。 線と面と角が際立ち音楽も感じてバウハウスだなと思うのは私の個人的感想です。 ワシリー・カンディンスキー 「コンポジション-8」 私は46年前に、あるレコード店でレコードジャケットの絵が気に入りLP版レコードを購入しました。そしてその絵の画家のカンディンスキーを知り、バウハウスを知りました。 あっという間の46年でしたが、建築や住宅の仕事に興味を持つキッカケとなり、私の職業人生に大きな影響を与えたレコードジャケットで今でも大切にしています。 ワシリー・カンディンスキー 「即興画 7」 渡邊工務店の創業は明治40年で西暦1907年です。 バウハウスが誕生する12年前となります。 100年という歴史の重みを感じるとともに、自身の人生を振り返っても時間は思ったより早く流れるように感じます。渡邊工務店の「天然木で建てる百年住み継ぐ家」が本物として評価されるよう、これからも末長く歴史を積み上げていかなければいけないと思いました。 バウハウスが数寄屋の心に通じるところもあるようです。 「バウハウスと茶の湯」の著者山脇道子は1930年、夫で建築家の山脇巌とともにバウハウスに入学しました。 実際にバウハウスで学んだ経験がある山脇道子さんのコメントで、「私は茶の湯の世界に生まれ育った人間です。そんな私が、何も知らないまっさらな頭でバウハウスに学びはじめて、あっと思ったことがありました。それは、 バウハウスと茶の湯 はとても似ているということです。突拍子もないことに聞こえるかもしれませんが、いずれの世界にも共通しているのは、シンプルかつ機能的であることを良しとし、材質の特性をできるだけそのまま生かそうとする姿勢です。このことに気づいた時、バウハウスでやっていけると初めて自信を持てたような気がしました」とあります。 ドイツでも日本でもシンプルで機能的な素材を活かすデザインは、相通じるものがあるように思いました。 ■渡邊工務店の家造りについて詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2022.04.26 /
第88回:省エネ住宅≠快適住宅
新緑が鮮やかな季節になってきましたね。 先日、育てているチューリップの球根に栄養を行き渡らせる為、花が開く直前の蕾をカットしその蕾をカレー皿にアレンジしてみました。 冬の寒さは遠のき、夏の暑さはまだ先のことです。 省エネに一番縁遠くて快適なこの時期に空調システムについて考えてみたいと思います。 省エネ住宅を評価する基準としてUA値という言葉をよく耳にすると思います。 Uは熱貫流率の国際的に決められた記号で、Aは平均の意味を現すAverageの頭文字Aになります。 UA値は日本語にすると「外皮平均熱貫流率」、英語では「Total Heat Loss」となります。 外皮とは家の外側の部分のことを示し(壁、屋根、窓、床、基礎など)、UA値とは家全体の断熱性を示す数値です。 UA値のUの言葉の意味としては、1㎡の部位の表裏に1℃の温度差があったときに1時間に伝わる熱の量を表し、部位を構成する断熱材の種類や厚さによって変わる値です。 1時間に伝わる熱の量ですから、当然値が小さいほど熱を伝えにくく断熱性が高い住宅、建物と言えます。 このようにUA値とは温度が1時間当たり建物の1㎡当りにかかる外皮貫流熱量のことです。 W数で表すと1㎡当り1度の温度変化は1W熱量が必要でありUA値=1.0です。 全く同じ断熱仕様で同じ大きさの建物でも、建物ごとに部位面積は異なりますので、UA値は建物ごとに計算しないとわからない値となります。 住宅一棟をUA値で検討される場合のチェックポイントは、UA値はメーカー仕様や断熱仕様で一律にアピールできる値ではないということです。 計算式: 外皮平均熱貫流率(UA値:W/㎡K)=建物が損失する熱量合計(W/K)÷外皮面積(㎡) 一般的な2階建て40坪(およそ外皮面積350㎡の場合)で検討してみましょう。 UA値=1.0の場合: 350㎡×UA値1.0=350W(温度が1度上下変化するに必要な熱量) 2階建て40坪の建物で真冬の日の0度の室内温度を20度まで20度上げたいとき、または真夏の40度の時に室内温度を20度まで20度下げたいときは20度×350W=7000Wのエネルギーが必要です。 UA値が0.5の場合は同様の計算式なので3,500Wの熱量で足ります。 よってUA値を1.0から0.5に小さくすればエネルギー(電気代)も半分になります。 家庭用ルームエアコン14帖タイプはおよそ4.000W、18帖タイプはおよそ5,600Wの能力なので、UA値0.5の40坪の住宅では熱量計算だけなら1台のエアコンでクリアできます。 下記表は平成25年省エネ基準のUA値省エネ基準です。 地域区分 1地域 2地域 3地域 4地域 5地域 6地域 7地域 UA値 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87 主な都市 旭川 札幌 盛岡 仙台 新潟 名古屋 福岡 UA値は低い値に越したことはないですが、住宅の外皮から熱の出入りを少なくして省エネ対策を旨とするUA値は愛知県において0.46あればエアコン1台で十分なように思います。 しかしながら、このように省エネ住宅を実現しても快適住宅にはなりません。 空気は混ざりにくく、そのままでは各部屋の隅々まで伝えにくい性質を持っています。建物内の空気の流れを人為的に万遍なくいきわたるように管理する必要が生じます。冬でもサーキュレーターが重宝されるのはこのことが理由の一つだと思います。 家の中には玄関、トイレ、洗面所、廊下、階段、寝室、子供部屋など様々に区切られたスペースが随所にありますが、空気の自然の力に任せている事が、快適な暮らしを送る為には必要熱量エネルギーを超える複数のエアコンを備え付けざるを得ない背景となっています。 どんなにUA値が低い高気密高断熱住宅も、室内空気の質の管理をしないと折角の省エネ水準が活かせず、過分なエネルギーを加え「快適空間」を実現する必要があります。 その為に複数の個別エアコンの設置や、独自の全館空調システムを設置するケースがありますが、初期の投資費用が多くなり、その後のメンテナンス費用や機器交換費用、日々のエネルギーコストも多くなると思います。 渡邊工務店は百年住み継ぐ家をモット―とし、60年長期保証システムによる建物維持管理で快適な暮らしを長期にわたって送って頂きたく存じます。なのでその間、空調機器の動力機械部分は何回か機器を更新する必要があります。 渡邊工務店は大風量・小温度差機能により室内の快適な空気の質を管理する動力機械部分を、コストパフォーマンスが高く、壊れにくくて管理のしやすい市販家電メーカーエアコン1台で可能とする次世代全館空調「マッハシステム」によって実現し、部屋ごとにエアコンを複数設置する対応や、独自の全館空調システムに比べて初期投資費用の低減と、設置後の長期にわたるメンテナンス費用や複数回に及ぶ機器交換費用の低減を可能とし、経済的にも費用効果の高い快適住宅の実現に取り組んでいます。 私たちの取り組みは国連が提唱するSDGs「持続可能の開発目標」の考えかたと合致し、それぞれの目標に貢献できるものと考えています。 家庭用エアコン1台で家中の冷暖房ができ、同時に換気、空気浄化、加湿、除湿も行う次世代全館空調「マッハシステム」を採用し、多くのCO²を排出するエアコンの使用量を格段に減らすことができる経済的かつ環境に優しい省エネ住宅の普及促進により7,9,11,12,13番の取り組みに貢献しています。 渡邊工務店の家造りは、住む人の暮らしを豊かにするだけではなく、社会を豊かにする地域に優しい家造りです。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■SDGsの取り組みにについて詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2022.03.14 /
第87回:防災住宅
防災住宅の役割は地震や台風などの自然災害から家族や財産を守ることだと考えられています。 今の日本で新築する場合、耐震等級3を初めとした住宅の頑丈さにおいて、過去の震災レべルに耐えられる建物の強さは当たり前だと考えます。 これからは防災住宅として、災害後の困難な生活や新しいタイプの災害であるパンデミック(感染症が世界的に大流行する状態)に対応し、しなやかに回復していくレジリエンス住宅(平常時にはエネルギー使用量を抑制しながら、非常時にも自立的にエネルギー供給が行える住宅のこと)が求められていくように思います。 渡邊工務店施工:飛島村三福一時避難所 1.被災生活のハード面の対策: 具体的にはライフライン(電気、水道、ガス、下水道)が寸断された1週間の被災生活に耐えて、回復に備える住宅と暮らし方だと思います。 ライフラインの寸断による災害時の苦難は大変なことですが、マグニチュード8~9級の南海トラフ地震は今後40年以内に発生する確率が90%程度とされています。 愛知県では南海トラフ地震を想定して県庁業務継続計画を策定しています。 下記資料は南海トラフ地震を想定した時の愛知県庁業務継続計画の一部です。 実際に起こった阪神・淡路大震災の被害との比較でまとめてあります。 渡邊工務店のレジリエンス住宅の取り組み 太陽光発電システム、家庭用蓄電池、EVコンセントを設置し、普段は太陽光発電システムや蓄電池を組み合わせることにより昼夜バランスの良い省エネ対応で快適に暮らしながら、被災した場合は、昼間は太陽光発電システムでエネルギーを創り、夜は太陽が沈み発電できないため家庭用蓄電池やEV(電気自動車)・PHV(外部から電源をつないで充電できるハイブリッド車)の車載バッテリーで停電しても電気を供給し安心して暮らせるように準備する。 太陽熱温水器を屋根に設置し、太陽エネルギーを高効率で温水に変換し蓄える。 災害時に早く復旧させることができるプロパンガスを使いガスインフラ対策とする。 給湯器の給湯タンクを利用して断水の時の対応をとる。 雨水タンクを雨どいと連携して設置し水を確保する。普段は庭の水やりや打ち水になど利用。エアコン1台で運用できる全館空調「マッハシステム」を搭載し快適性と省エネに寄与(貢献)。 これらは国土交通省の主管する令和元年度(第1回)サステナブル建築物等先導事業(省CO₂先導型)において、渡邊工務店も参加するプロジェクトが採択された内容の一部で、プロジェクト名は戸建住宅新築区分ハイブリッド太陽エネルギー利用住宅先導プロジェクトです。 実際にお客様の住宅として建築し、普及型タイプを街角モデルハウスとして、見学期間の後販売させていただきました。 2.被災生活のソフト面の対策: ① 情報 近隣の防災拠点、指定避難所を調べておく。 普段から支援者、友人、地域工務店等の頼れる人達との連絡体制を確保しておく。 災害時に誰でも使える無料Wi-Fi「00000JAPAN」の活用を確認しておく。※どの通信会社のスマホでも無料で利用可能。大規模災害発生後スマホが長時間利用できないおそれがあると判断されると、災害発生から72時間以内に開放される。 役所のSNSのフォローはしておく(特に防災関係)。 ② 近隣危険地区の事前把握 ブロック塀の確認。鉄筋の腐食などの劣化を考えると耐久年数は20年~30年。地震時の急な倒壊による負傷の防止。余震で倒壊するリスクも把握しておく。 また倒壊ブロックによる避難、支援、救援復旧、交通の妨げリスクの確認をする。 古い家屋・ビル・古木の確認。 ③ 知識の蓄積 火災、津波、水害、土砂災害等、疑わしい時は行動をする(避難)。※空振りは許されるが、見逃しは許されない。大怪我や死に繋がる場合もある。 必要な備蓄品を用意し保管しておく。ローリングストック方式(普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくこと)により実際に試してみる。 帰宅困難者になった場合の対応を想定する。 今いる場所付近の避難場所を確認。防災アプリ:Yahoo防災速報等の活用。 AEDの場所の確認をしておく。 外出時の水の確保。災害救援ベンダー(普段は通常の自販機。災害等で停電になった際、人的操作で自販機内の商品を搬出する事ができる。)の利用。 コンビニの利用。復旧が早い、停電でも営業できる。 3.パンデミックによる感染症対策の渡邊工務店の考え方: 渡邊工務店の住宅に搭載されている全館空調換気システム「マッハシステム」がこの度、特許を取得しました。 ウイルスや菌、それらの飛沫等による感染症の患者、および接触者等と家庭内感染のリスクが少なく自宅療養することが出来る技術として確立し、換気による高い空気清浄を得ることができます。渡邊工務店としては、パンデミックによる感染症対策として風邪やインフルエンザ等の感染症対策にも役立ち、レジリエンス住宅の役割を負うのではないかと考えます。 これからの住宅は、日常は省エネで快適な暮らしを送りながらも、万が一大きな災害に遭遇した時に丈夫で強く安全であることはもちろん、被災後からの回復に強くしなやかに対応して暮らしが続けられる、レジリエンス住宅が求められるように思います。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2022.02.18 /
第86回:ビタミンカラーの冬の花
立春を過ぎたとはいえ寒いですね。 寒さで気持ちが落ち込む時には気分を上げたいと思い、ビタミンカラーの冬の花を玄関前に置いて元気になれるように寄せ植えにチャレンジしました。 寄せ植えの花の写真は冷え込んだ朝に撮りましたが、11月に植えてから12月には写真のようになり、このまま4月の終わりまで花を咲かせて楽しませてくれそうです。 寒さに強く、萎れた花を摘んでも次から次に花芽(成長して花になる芽)が上がって咲き続けるパンジーのイエローをメインにホワイトを真ん中に入れて、ガーデンシクラメンのレッドとパープルを2株植えています。 左端にノースポールを植えたので、これから小さな白い花が咲くと思います。葉物のアクセントとして、シルバーリーフのプラチーナと初雪カズラを入れています。 下の写真の右のプランターは、イエローとホワイトのパンジーの寄せ植えで、その花の中に、小さなバラの花のようにミニ葉ボタンを3株植えています。 左のプランターはブルーとパープルのパンジーと同系種のビオラの寄せ植えです。 これらの寄せ植えは草丈の低い花なので、足元に視線が行き風景の邪魔をしません。 庭先やベランダ、ウッドデッキ等のアクセントとしても冬の景色を元気にしてくれます。 春までの楽しみですが、だからこそ気軽にトライできたのかなと思いました。 ホームセンターの園芸コーナーに立ち寄った時は、店先に売られている様々なビオラやパンジーの花に今でも目移りをしてしまいます。 私は園芸のビギナーで冬の花の寄せ植えは初挑戦ですが、体験してみると水やりも毎日ではなく、季節柄病害虫の心配もあまりないので手間いらずでした。 花が咲き続けるのも楽しく、玄関や庭の彩りになる冬の花の寄せ植えは皆様にもお薦めしたいと思いました。 ■渡邊工務店の家造りについて詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2022.01.17 /
第85回:会社の寿命と長期保証
渡邊工務店は今年で創業115周年を迎えることとなりました。 今回は会社の寿命と住宅の長期保証について考えてみたいと思います。 木造建築物の長寿命・耐震性の素晴らしさを説明する時に、1,300年以上前に建築された現存する世界最古の木造建築である法隆寺の話がよく言われますね。 構造体である桧(ひのき)の素材の特質や、地震に強い建築工法、建築に携わった大工の技術がその背景にあると言われています。 しかし、坂本功東京大学名誉教授著「木造建築を見直す」(岩波新書)の中で「法隆寺を建てた大工は、1,300年もつものをつくったのではなく、1,300年もたせるに値する建物をつくったのです。」という文章に少し異なる視点を感じました。 法隆寺の建物が老朽化し、維持管理に必要な補修箇所がでてきても修理と補強を繰り返し、後世に伝えようという先人の想いと、大工の匠の技があってこその1,300年の歴史との考えと理解しました。 歴史的建造物のみならず、身近にあるお寺や神社にもその地域の人々には同じような想いがあると思います。 そのような想いを伝統的な建築会社が家守のように支えていると思います。 渡邊工務店も地域の人々に愛着をもたれ、残される価値のある社寺建築を手掛けさせていただいています。 ご参考リンク:渡邊工務店の社寺建築 施工実績事例 このような家守の話は社寺建築だけでなく個人の住宅建築でも同じではないでしょうか? そこに住まう家族の想いに寄り添った家を建てて、その後の20年、30年そして60年後の家族の様々なシーンが刻まれた家を、その家を建てた建築会社が家守としてずっと維持管理していくべきだと思います。 そうすると建物の長寿命もさることながら、家守としての建築会社の寿命が建てた家以上に長寿命でないと話になりません。 日本の会社の平均寿命は、一説に30年と言われています。 東京商工リサーチの2018年の調査結果によると建設会社の平均寿命は24年だそうです。 東海エリアでも過去20年位で見ると、愛知県でトップクラスの着工実績のあった上場企業の倒産や、総合住宅展示場に出展していた建築会社が倒産して撤退するケースがありました。 会社の長寿命の為には組織として一定以上の規模が必要だと思いますが、それだけでは不十分のようです。 建築に携わった会社がなくなってしまうのは、その後の建物の維持管理の相談先の問題だけでなく、依頼した建築主の気持ちとしても家族にとっても悲しいことだと思います。 地域密着の建築会社の倒産は、お客様や取引先、地域の皆様、社員やその家族にとってあってはならないことだと思います。 そうならない為には社歴を積み上げ、長寿命の実績を作っていくことがお客様を含めた皆様の安心につながることだと思います。 それには、会社の建築の仕事に対する拘りの姿勢が大切であると考えます。 特に地域密着企業はオーナーの考え方や行動に現れるように思います。 わかりやすい事例では、地域密着建築企業のオーナーは建築現場に足を運び、現地現物で仕事の出来映え確認をすることが当たり前になっていると思います。 私見ですが、建築会社の社長が現場に足を運ばなくなったら不安ですね。 会社が大きくなると飲食やブティックなどの小売業のような異業種に事業を多角化(新しい分野に進出して企業が成長する方法)していく会社もあります。 長期視点で建物工事や経営管理を考える建築業と、日々の売り上げと市況を見ながら細かく管理する業種では経営のスタンスが異なるように思います。 本業から外れていくことは、経営者が建築現場に足を運ばなくなる要因にもなるかも知れません。 渡邊工務店は60年長期保証システムを運用しています。 システムとしての60年という期間を担保するために、115年の社歴のおよそ半分を期間設定していますが、家守としての役割は建築に携わった建物がある限りずっとお付き合いしていく所存です。 時代の要請に従い、お客様と建築会社の家守として、末長いお付き合いのお約束を交わす為、具体的な内容を文書化し明示したのが60年長期保証システムです。 ご参考リンク:60年長期保証システム概要 60年長期保証システムは新築の建物のお引渡しから始まります。 長期にわたる保守管理の設定期間を社歴以上の期間で組み立てることは書類上可能でも、企業として本当に信義誠実にお約束できるのか不安です。 115年存在している渡邊工務店だからこそ「百年住み継ぐ家」を建て、60年の長期保証をお約束することができます。 渡邊工務店はこれからも社歴を積み上げて、60年長期保証システムの運用への信頼を高め、お客様の家守として末長くお付き合いしていくことへの期待にお応えしていく所存です。 ■熟練大工の匠の技について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2021.12.13 /
第84回:ウイルス対策とマッハシステム
渡邊工務店の住宅に搭載されている全館空調換気システム<マッハシステム>がこの度、特許を取得しました。 ウイルスや菌、それらの飛沫等による感染症の患者、および接触者等と家庭内感染のリスクが少なく自宅療養することが出来る技術として確立し、換気による高い空気清浄を得ることができます。 参考記事 👉 @Press 「全館空調換気システム<マッハシステム>が特許取得」 新型コロナウイルスの変異株等のニュースを見聞きすると、今後ますます対策を講じる(こうじる:問題を解決、乗り切る為に対応方法を実行する)必要性が高まっていくように思われます。 一般に、感染症にかかると、原因となる病原体(ウイルスや細菌など)に対する「免疫」(抵抗力)ができます。 免疫ができることで、その感染症に再びかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりするようになります。 予防接種とは、このような体の仕組みを使って病気に対する免疫を付けたり、免疫を強くするために、ワクチンを接種することをいいます。 ワクチンにも様々な種類がありますが特にmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンなどの新型コロナウイルス対策ワクチンはウイルスのタンパク質を構成する情報の一部を投与するとのことです。 その情報をもとに、体内でウイルスのタンパク質の一部を作り、そのタンパク質に対する抗体が作られることでウイルスに対する免疫を獲得します。 このワクチンの基本設計は既に完成しており、今後は新型コロナウイルス変異株に対しての修正設計の対応となるので、万が一既存のワクチンの効果が小さくても、今後の変異株に対するワクチンの出荷までの期間は初期のワクチン開発に比べて短時間で可能となることが期待されています。 参考記事 👉 厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」 いずれ新型コロナウイルス感染症も、リスクはあるもののインフルエンザのように人類と共存するようになるかもしれません。 渡邊工務店としては、住宅は快適な生活を送るだけではなく、地震や台風等の災害から家族を守るシェルターとしての役割も重要で、新型コロナウイルスのようなウイルス対策も大きな意味での防災に係る(かかわる:関係する、関連する)課題だと考えます。 まずは、住宅の換気の機能や性能を高めるとともに、家族の誰かが新型コロナウイルス感染症に限らず、風邪やインフルエンザなどに万が一罹患(りかん:病気にかかること)しても、隔離部屋を設定して他の家族の罹患防止のシステムを住宅に備えることは住宅のシェルター機能として大きな意味を持つと思います。 YouTubeにご案内動画掲載 👉 スーパークリーンマッハシステム 渡邊工務店は、今回の特許取得に準じた全館空調システムをスーパークリーンマッハシステムとして発売しております。 「天然木の家・快適エコライフ」小牧住宅展示場にスーパークリーンマッハシステム搭載のモデルハウスがございますので是非ご覧頂きたく存じます。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■「天然木の家・快適エコライフ」小牧展示場について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2021.11.25 /
第83回:夜の京都の紅葉
先日京都へ行き、叡山電鉄(えいざんてつどう)沿線の紅葉を見てきました。 今回の紅葉巡りの目的は、夜の紅葉と寺院の拝観、その中でもリフレクション(反射して映り込む)写真で有名な瑠璃光院(るりこういん)に行って現地を体感し、素人でも本やWEBの紹介と同じような写真が撮れるのか、挑戦したいと思ったからです。 外の景色が部屋の写経机(しゃきょうづくえ)に反射して映り込む瑠璃光院のリフレクション写真が、こんな感じで撮れました。 現地で体感すると、想像していたより実際の写経机が小さくて驚きました。 同じ時刻の同じ部屋ですが、写真を撮る位置と角度を変えると普通の写真になります。 リフレクション写真の挑戦は割と上手くいったように思いますが、同じ条件や素材によっても微妙な差により印象が異なることを体感できたことは、仕事の出来映えにも通じるようで貴重な経験でした。 また、一般の住宅でも和室に漆塗り(うるしぬり)の机があれば、前庭の設えによっては同じようなリフレクション効果を楽しめるのかなとも思いました。 京都は紅葉と寺院建築を楽しめる場所が多くありますね。 こちらの瑠璃光院も大正末から昭和の初めにかけて、1万2千坪の敷地に延240坪に及ぶ数寄屋造りに大改築するとともに、自然を借景(しゃっけい:日本庭園の一様式)とした名庭を造営されたとのことです。 建築にあたった棟梁(とうりょう)は、京数寄屋造りの名人と称された中村外二(なかむらそとじ)、築庭は、佐野藤右衛門(さのとうえもん)によって施されたと伝えられています。 数寄屋造りの在来木造建築に興味がある方は是非訪れていただければと思います。 2階から外を眺める。 こちらの門より紅葉の時期に行われる、夜の瑠璃光院を拝観させていただきました。 夜の漆黒の中にライトアップされた紅葉は幻想的で、年月を重ねた数寄屋建築や日本庭園の中で体感すると、少し耽美(たんび:美を最高の価値と考え、美にひたりふけること)な気持ちになります。 昼の間は叡山電鉄沿線の詩仙堂(しせんどう)や鞍馬(くらま)にも足を延ばしましたが、天候にも恵まれて綺麗な紅葉を楽しむことが出来ました。 コロナ感染者数も収束に向かい、行動規制も緩和されて人流も増えてきたように思います。 今後コロナの感染状況がこのまま終息して、活気ある生活に戻れるように期待しています。 ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2021.11.15 /
第82回:匠の技と仕事のマニュアル
以前、渡邊工務店の現場監督と仕事のマニュアルの話をしたことがありました。 若手の社員は施工現場の仕事について、手順や現場の収まりに明確なルール化をして、経験や個人の知識にかかわらず間違いのないマニュアルを作って進めていきます。 速やかな技術の習得に努め、早く一人前の仕事を任せてもらえるようになりたいと話していました。 また、ベテランの監督や渡邊工務店の匠の技と天然木を扱う大工や職人の仕事は、それぞれの現場や、材料ごとに微妙に異なります。 渡邊工務店の現場管理の仕事はマニュアルだけでどこでも同じようにできるものではありません。 そこが分からないようでは本物の現場監督ではないし、大工や職人とも本音のやり取りをできないと言っていたように思います。 どちらも真面目で真剣に仕事に向き合っているからこその話だと思います。 渡邊工務店の家造りで使われている大工道具 現代の一般的な建築現場ではプレハブ住宅(プレファブリケーション住宅:多くの部分を工場で部材生産、加工し、組立を行っておく工法で建てられた住宅)や、ローコスト系ビルダー(リーズナブルな価格を前面に打ち出した規格形注文住宅供給業者)のように徹底的に無駄を排除し、効率を重視して作成された均一な施工マニュアルに従って組み立てれば住宅が完成する工業製品のような作り方が多くなっているように思います。 住宅より価格の低いお寿司などの料理や洋服、家具や自動車でさえも徹底的に効率化を目的として標準化した商品から、匠の技や情緒的(じょうちょてき:人間の感情の変化を表す)な価値観を重視した商品があります。 渡邊工務店は住宅を生涯で一番高額で一度きりの購入商品と考えています。 お求めやすい価格は大切にしていますが、匠の技や情緒的な価値観を重視しているように思います。 渡邊工務店には、先ほどの若い社員の希望とベテランの監督の想いを両立させるための仕組みがあります。 それは「出来映え検査」という制度です。 出来映え検査の様子 渡邊工務店のナレッジ・マネージメント(暗黙知と言われる言語化・数値化できない個人のノウハウを、形式知といわれる言語化・数値化して社員で共有する経営管理)の一環として大切に継続しています。 渡邊工務店は施工管理のシステムとして建築現場の各種検査を他社同様行っています。 それとは別に渡邊工務店独自の制度として、弊社で匠の技を最も理解し、天然木に造詣の深い(ぞうけいのふかい:特定の分野に深い知識や技量を持ち、非常に精通していること)社長の渡辺が、原則として全棟の完成現場を施工担当者、設計、営業、部門責任者と共に実査し、匠の技や114年に渡る渡邊工務店の家造りの想いがどのように現場に反映されているかを確認しています。 気になるところがあればその場で指示を出して手を加え、良かったところは施工図面に記録し写真を撮り、社内の電子掲示板で全社員が回覧できるようにしています。 また、新たな課題があれば、工事会議や設計会議で更に深堀りして全現場に横展開(広げていく)できるように工夫しています。 このように暗黙知(主観的で言語化できない知識)である匠の技や想いを、形式知(誰が見ても理解できるような形式で表現された客観的な知識)である技術のマニュアルへ変化させていくことに渡邊工務店独自の「出来映え検査」制度は貢献(役立つように尽力すること)していると思います。 他の会社と検討されているときは、是非比較していただきたい住宅の品質に関わる大切なことだと考えております。 ■渡邊工務店の家造りについて詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2021.10.18 /
第81回:数寄屋の心とモダニズム
現在の数寄屋造り(すきやづくり)というと日本古来の伝統的な建築のように思われます。 しかしながら江戸時代前まで遡ると、当時の武家社会を中心とした伝統的な格式や身分制度を重んじる価値観の書院造りに対するアンチテーゼ(:主張を否定する主義や姿勢)として生まれた、和歌や茶の湯、生け花などを楽しむ茶室を取り入れた住宅様式です。 当時台頭してきた商人や茶人のような文人の中に書院造りのような格式や華美な装飾を嫌い、内面を磨いて客をもてなすという精神を持つ数寄者と呼ばれる人たちが、敢えて粗末な材料や素朴な丸太を好んで使い、軽妙でお洒落な茶室をはじめとした建物が数寄屋と称されたようです。 数寄屋建築というと茶室を思い浮べますが、茶室の設えはシンプルモダンの極みですね。 武士も町人も身分の分け隔てなく同じ作法で平等に執り行われる茶道も同様の価値観が反映されているように思います。 その後の技術や茶室の文化の深堀りは目覚ましく、現代に至っては本格的な数寄屋造りの建物は特別に高価で高度な技術の集積された高級建築となってしまいました。 渡邊工務店は愛知県内の総合住宅展示場に天然木で造る数寄屋造りのモデルハウスを出展していますが、この度小牧市に数寄屋の心を踏襲(とうしゅう:それまでのやり方を受け継いで、その通りにやること)しながらもモダンな天然木の家の展示棟を建設しました。 小牧展示場(リンクにて他の写真や動画もご覧ください) 建築に限らずモダニズム(:近代的)というと、過去の価値観との決別や否定として捉えられるところが多いと思いますが、数寄屋の心の中にはモダン(:今風でしゃれていること)があるように思います。 千利休は当時最も著名な数寄屋の心を持つインフルエンサーだったと思います。 白鳥庭園、清羽亭の建築施工 かつて名古屋で開催された世界デザイン博の迎賓館として建築された茶室「清羽亭」を渡邊工務店は施工し、芸術院賞の栄誉にその技術力を証明いたしました。 小牧展示場では他社の真似のできない数寄屋の心が宿るシンプルモダンを、素材にこだわった天然木と匠の技を活かした出来映えで実現していますので、是非ともご来場の上ご体感ください。 建物の外観やリビングダイニング、キッチン、設備、ストリップ階段等モダンに仕上げていますが数寄屋の心の源泉の和室は原点回帰の設えとしてあります。 松尾芭蕉の言葉に「不易流行(ふえきりゅうこう)」があります。 「不易という永遠に変わらないこと(もの)を忘れず、流行という新みや変化も同様に取り入れて行くこと」で、不易も流行もともに大切であり渡邊工務店の仕事にも通ずることであると理解しています。 小牧展示場のモデルハウスも数寄屋の心とモダンな設えを同じ視線からご覧いただければ幸いに存じます。 ■「天然木の家・快適エコライフ」小牧展示場について詳しくはこちら ■熟練大工の匠の技について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら