-
2021.05.19 /
第73回:椅子
ニューノーマル(ニューノーマル:新しい常態)の世の中は自宅時間が増えるような気がします。 リモートワークや学校の授業など、ネット環境を利用して自宅でかなりの事を行うようになりました。 仕事帰りもどこにもよらず、家庭中心の世の中に代わっていくように思います。 普段、日常生活でよく使う椅子に注目してみたいと思います。 私は20代の頃、ある住宅展示場にあったマッキントッシュのハイバックチェア(ハイバックチェア:頭を支えることが出来るような、通常よりも背もたれが高い椅子)に魅せられてしまいました。 いつか、自分の家を建てたとき、どこかに置きたいとずっと思っていた椅子です。 この椅子は座るための椅子ではなく、寝室に置く観賞用の椅子として作成されたとのことです。 今、玄関ホールに置いていますが少し緊張感があって周りも小奇麗にしています。 こちらの椅子以外にも、デザイナーズのハイバックチェアは日常使いだけでなくデザイン性に優れている椅子が多いと思います。 自宅時間が長くなる時に暮らしを彩るアイテムの一つになってくれます。 オーダーメイドの椅子も捨てがたいところがあると思います。 渡邊工務店は東農桧や長良杉などの地産木材の注文住宅を通して地域に貢献していく所存ですが、同様に飛騨エリアにはオーダーメイドの確かな技術と業歴で60年、100年と使い続けて愛着を深めていくような家具を製造される木工屋さんが見受けられます。 オーダーメイドによる要望と、技術に裏打ちされた細工と天然木の手触りは格別で、使い込むほど暮らしに馴染んでいくようです。 自宅時間が暮らしの中心になるときにはこのような家具の役割は大きくなっていくと思います。 住宅も天然木の素材と技術と業歴に拘るなら、毎日座る椅子はなおさらのような気がします。 (オークヴィレッジの椅子) ■渡邊工務店の家造りについて詳しくはこちら ■天然木で建てる家について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2021.05.10 /
第72回:ウッドショック
現在の住宅業界で喫緊(喫緊:さしせまって大切なこと)の課題は、これから大きな問題として表面化していくウッドショックについてどの様に対応するかです。 ウッドショックとは、この4月位から木材の市場が非常に逼迫(逼迫:追い詰められて、ゆとりがない状態)していて、価格が急騰していること、価格が高いだけでなく在庫が底をついていて木材そのものが現場に入らなくなり、建築工事が進められなくなることが現実となってまいりました。 ウッドショックの発生の要因は、コロナショックが起因しているように思われます。 日本の木材の多くが外国産の輸入材でロシア、アメリカやカナダの北米、東南アジアからの輸入に頼っていたのですが、今回のコロナ禍で製材関係の仕事や港湾荷役の仕事、コンテナ輸送船の運航が滞り木材在庫が減少した中で、コロナ対策としての財政支出によるアメリカと、コロナ封じ込めで経済回復にいち早く成功した中国の住宅市況が空前の回復を見せ、北米からの木材がアメリカ建材用に回って輸出が滞るとともに、買い負けで北欧、ロシア産(ホワイトウッド系)や特に北米産(米松等)は日本に入って来なくなりました。 それによる木材不足でコロナ禍に入ってから廃業した製材工場も多々発生しました。 今後ワクチンの普及とともに世界のコロナの状況は解決していくと思いますが、ウッドショックの度合いは更に深刻になる恐れがあると思います。 世界中の国々がコロナ対策で多くの財政支出と金融緩和を行っています。 特にアメリカの規模は突出しており、金利も低い水準で緩和マネーとして株式市場と同様に住宅市場は活況を呈しており、アメリカの住宅着工数も増えて2020年9月は141.5万件でしたが2021年3月は173.9万件と増加し、木材の価格も大幅に値上がりしています。 コロナを封じ込め、いち早く経済の復興に成功した中国も住宅需要が旺盛で木材の需要が多く、世界の木材市場で日本が買い負けることが多くなってきたようです。 中国はGNP(GNP:国民総生産)でアメリカに次いで第2位の規模になり、日本の3倍です。 日本においては世界の市場からの買付で、身近なマグロをはじめ様々なものを買い負けているケースが目立ちますが木材も同様に苦しい立場です。 こんな状況なので国産材に注目が行き、今まで品質が劣るホワイトウッド系の柱等を主に使用していたローコスト住宅系や建売(分譲)系の大手各企業が杉、桧の柱材を買い漁っていて同様に値上がりの傾向があります。 産業構造として今まで国産材を大切にせず、外国産材を中心にしていた住宅業界は急に国産材の仕入れを増やそうとしても、荒れた森林や廃れた林業や製材業は簡単には再構築できず、今後構造的に変えていくところがあるように思います。 本来の住宅産業は地域密着で、地域の森林で長年育った木材、東海エリアなら東農桧や長良杉をベースにして地域の大工や職人が手を掛けて地域の人たちに家を供給し、伐採した森を再度植林し代々育てていく、今後目指すべき持続可能な社会・産業の構造だと思います。 (渡邊工務店東農桧仕入れ先の東白川製材協同組合) 現在のウッドショックのような大きな経済の流れに抗うことは、渡邊工務店単体としては困難もありますが、森林の役割を大切にして、地域の森林で育った木材を直接育てた森林に係る人たちから買い付ける渡邊工務店のウッドショック耐性は、プレカット工場から仕入れた外材集成材の構造木材を、お客様の建築現場で初めて見るような工務店や住宅会社とは異なるように思います。 渡邊工務店は社歴114年、建物の60年長期保証システムを掲げて、末永いお客様とのお付き合いをお約束しています。 外国産材に頼らない国産材の天然木への拘りが、今回のウッドショックのような環境変化にも対応していくように思いました。 (東白川製材協同組合近傍の森で行われた渡邊工務店東農桧植林体験ツアー) しかしながら今回のウッドショックによる国産木材に対する見直しが本物であり、外国産材に頼らず国産材を大切にした日本の森林事業や国産材木造建築の隆盛(隆盛:栄えて盛んなこと)の端緒(端緒:物事が始まる糸口)になるようになればと期待しています。 今後目指すべき持続可能な社会・産業の構造というサスティナブルな地球環境の実現から考えれば、国産材の育成は、第49回のコラムでご紹介したウッドマイレージ(ウッドマイレージ:「木材輸送量×輸送距離」を環境負荷の数値として表し、環境についての課題を検討する値です。木材は生産・伐採地から建築地までの輸送に石油等の化石燃料を使用しているので、大気中に二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しながら運ばれますが、運ばれる木材の量が多い程、運搬の距離が長い程、輸送の為の燃料の量は増大し環境に対する負荷は大きくなります。)の観点からも大切なことと思います。 ■渡辺工務店の60年長期保証システムについて詳しくはこちら ■SDGsの取り組みについて詳しくはこちら ■渡邊工務店の家造りについて詳しくはこちら ■森づくりの活動について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら