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2020.11.19 /
第61回:木材生産地からの直接買付と自社で行う番付作業
渡邊工務店は生産地の木材卸業者、製材工場より直接買い付けた東濃桧などの天然木を自社の「木材センター」で、前回コラムでご紹介したように「番付」作業のときに直接確認し厳重に品質管理された木材にて建てています。 渡邊工務店は社歴113年になりますが、その長い業歴の中で培われた生産地の木材卸業者、製材工場の皆様との信頼関係の賜物であると思います。 一般的にはそのような生産者との信頼のルートの構築は難しく、直接、木材の買付をしたくても難しいようです。 多くの会社では木材製品としてプレカット工場を持つ卸売業者より、購入するケースが多く、他社では建物の木材をお客様の現場で初めて見るようなケースが多々あるように思います。 「番付」時の木材品質のチェックについては風倒木や含水率のチェックがあります。製材されてきた木材の中には稀にですが木材の成長時に強風にあおられて一度木部に「ヒビ」が入ったまま成長したものが混ざっていることがあります。 よく見ないと見た目はほとんど変わらず区別しづらいのですが、人間でいえばあばら骨に「ヒビ」が入った状態なので渡邊工務店では一本、一本チェックして排除しています。 また、木材の含水率の適正基準の管理は長寿命に大きく影響しますが、同様に行い、安心して長く住んでいただけるように自社検査をしています。 適正に管理された東濃桧は下記のように伐採してから1000年以上持つこととなります。 ※朝日選書262 日本人と木の文化(小原二郎著)より 「古材の強さ(ヒノキ)」を参考にして作成。強度は圧縮強度。 信頼の証として東白川製材協同組合より頂いた東濃桧造りの感謝状です。 もう一つ、番付作業時で大切なことは木自体の木目や節のチェックです。伝統的な木造建築は木材の柱が構造材であり化粧材の役割を持っています。特に節のない、もしくは少ない素木の柱は、けがれがなく尊ばれています。神社や結婚式場などの神聖なエリアは特にそのような傾向が強いと思います。 渡邊工務店では床の間のある和室だけでなく、柱のそれぞれの面が見えているところは暮らしている皆様がどのように見て、そしてどのように感じられるかを素木の特性を考えて「番付」作業を行っています。 このように自社で番付作業を行うことは、伝統的な木造業者にとって大切にすべきことだと思います。 ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.11.10 /
第60回:ものつくりの心と番付作業
下の浮世絵は葛飾北斎の富嶽三十六景 遠江山中です。 有名な浮世絵でかなりデフォルメされているのかなと思っていましたが、右の写真を見るとほぼ同じですね。 写真の時代もそんなに変わらないのが不思議な感じです。 (ジャポニズム-浮世絵と写真の比較-より参照) 葛飾北斎は江戸時代の200年位前の浮世絵師です。 当時建築された社寺や古民家は現在でも数多く残っているので、天然木に対するこだわりと大工さんの技術には感心させられますが、 そのようなこだわりや技術は、時代の進化や変化によって置き去りにされていくような気がします。 木材を刻む過程に工業化や電動化の取り組みを進め、大工さんの現場での苦労や手間を省力化することは時代の要請ですし費用面でも大きく寄与をすることは理解いたしますが、木の本質を見ないで工業化製品のように扱うのは木造建築の良さを減殺するように思います。 天然木であるならば木材を組み立てる前に柱の性質を見極めることは欠かせないことと思います。 変えてゆくべきところと、変えてはいけないところで昔から「不易流行」と呼ばれているところだと思います。 渡邊工務店では家を建てる設計図に基づいて、どの柱をどんな風に使うのかを決めていく番付作業を自社で行っています。 建物平面図を格子状に割付、図面縦軸下から123~と図面横軸右からいろは~と記号番号を打ち、どこに柱を立てるのかを決める作業です。 図面右下角が「いの1番」です。 「一番最初に」という意味はここから生じたともいわれています。(諸説あり) 渡邊工務店はお客様の建築に使われる天然木を見ながらこの作業を飛島村本社の木材センターでその道のプロが行っています。 その柱の配置を決定してプレカット工場に支給して、電動工具を使ったりしますが、それでも天然木のこだわりがあるので大工道具の数と種類は一般の住宅会社より多いと思います。 飛島村本社の木材センターや銘木館を是非ご覧いただければ幸いに存じます。 皆様のご来場をスタッフ一同、心よりお待ちしております。 ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら