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2020.11.19 /
第61回:木材生産地からの直接買付と自社で行う番付作業
渡邊工務店は生産地の木材卸業者、製材工場より直接買い付けた東濃桧などの天然木を自社の「木材センター」で、前回コラムでご紹介したように「番付」作業のときに直接確認し厳重に品質管理された木材にて建てています。 渡邊工務店は社歴113年になりますが、その長い業歴の中で培われた生産地の木材卸業者、製材工場の皆様との信頼関係の賜物であると思います。 一般的にはそのような生産者との信頼のルートの構築は難しく、直接、木材の買付をしたくても難しいようです。 多くの会社では木材製品としてプレカット工場を持つ卸売業者より、購入するケースが多く、他社では建物の木材をお客様の現場で初めて見るようなケースが多々あるように思います。 「番付」時の木材品質のチェックについては風倒木や含水率のチェックがあります。製材されてきた木材の中には稀にですが木材の成長時に強風にあおられて一度木部に「ヒビ」が入ったまま成長したものが混ざっていることがあります。 よく見ないと見た目はほとんど変わらず区別しづらいのですが、人間でいえばあばら骨に「ヒビ」が入った状態なので渡邊工務店では一本、一本チェックして排除しています。 また、木材の含水率の適正基準の管理は長寿命に大きく影響しますが、同様に行い、安心して長く住んでいただけるように自社検査をしています。 適正に管理された東濃桧は下記のように伐採してから1000年以上持つこととなります。 ※朝日選書262 日本人と木の文化(小原二郎著)より 「古材の強さ(ヒノキ)」を参考にして作成。強度は圧縮強度。 信頼の証として東白川製材協同組合より頂いた東濃桧造りの感謝状です。 もう一つ、番付作業時で大切なことは木自体の木目や節のチェックです。伝統的な木造建築は木材の柱が構造材であり化粧材の役割を持っています。特に節のない、もしくは少ない素木の柱は、けがれがなく尊ばれています。神社や結婚式場などの神聖なエリアは特にそのような傾向が強いと思います。 渡邊工務店では床の間のある和室だけでなく、柱のそれぞれの面が見えているところは暮らしている皆様がどのように見て、そしてどのように感じられるかを素木の特性を考えて「番付」作業を行っています。 このように自社で番付作業を行うことは、伝統的な木造業者にとって大切にすべきことだと思います。 ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.11.10 /
第60回:ものつくりの心と番付作業
下の浮世絵は葛飾北斎の富嶽三十六景 遠江山中です。 有名な浮世絵でかなりデフォルメされているのかなと思っていましたが、右の写真を見るとほぼ同じですね。 写真の時代もそんなに変わらないのが不思議な感じです。 (ジャポニズム-浮世絵と写真の比較-より参照) 葛飾北斎は江戸時代の200年位前の浮世絵師です。 当時建築された社寺や古民家は現在でも数多く残っているので、天然木に対するこだわりと大工さんの技術には感心させられますが、 そのようなこだわりや技術は、時代の進化や変化によって置き去りにされていくような気がします。 木材を刻む過程に工業化や電動化の取り組みを進め、大工さんの現場での苦労や手間を省力化することは時代の要請ですし費用面でも大きく寄与をすることは理解いたしますが、木の本質を見ないで工業化製品のように扱うのは木造建築の良さを減殺するように思います。 天然木であるならば木材を組み立てる前に柱の性質を見極めることは欠かせないことと思います。 変えてゆくべきところと、変えてはいけないところで昔から「不易流行」と呼ばれているところだと思います。 渡邊工務店では家を建てる設計図に基づいて、どの柱をどんな風に使うのかを決めていく番付作業を自社で行っています。 建物平面図を格子状に割付、図面縦軸下から123~と図面横軸右からいろは~と記号番号を打ち、どこに柱を立てるのかを決める作業です。 図面右下角が「いの1番」です。 「一番最初に」という意味はここから生じたともいわれています。(諸説あり) 渡邊工務店はお客様の建築に使われる天然木を見ながらこの作業を飛島村本社の木材センターでその道のプロが行っています。 その柱の配置を決定してプレカット工場に支給して、電動工具を使ったりしますが、それでも天然木のこだわりがあるので大工道具の数と種類は一般の住宅会社より多いと思います。 飛島村本社の木材センターや銘木館を是非ご覧いただければ幸いに存じます。 皆様のご来場をスタッフ一同、心よりお待ちしております。 ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.10.13 /
第59回:カリモク家具共催インテリアフェア
先週、カリモク家具本社ショールームにて渡邊工務店と共催でインテリアフェアを開催いたしました。 既に渡邊工務店の建物にお住いのお客様や、ご建築中そして建物のご検討をいただいています26組のご家族様にご来場いただきました。 カリモク家具と渡邊工務店のインテリアコーディネーターが総出でご対応させていただきました。 特に、現在建築中のお客様からは建物の床材や柱材と家具の木部や塗装の色味や質感を解り易く検討出来たこと、カーテンの生地やソファの張地を選ぶ際にインテリアコーディネーターのトータルアドバイスがお役に立つことができたようで大変ご満足をいただいたように思います。 また、ご家族皆様で様々な家具の設えコーナーを巡ること自体も楽しそうでした。 カリモク家具の担当者に他社との違いや強みをお聞きしました。 日本では、日本と北欧の2大家具販売会社がリーズナブルな価格とデザインを売りに市場を席巻しています。 カリモク家具は、素材と製造方法にこだわりがあり、末長く愛着を持って使い続けていただくところをアピールしたいとの事でした。 地元の自社工場で生産するのですが、熟練の職人の仕事と、トヨタをはじめとした製造業のDNAを大切にした工場ラインでの製造工程管理の徹底により、品質と価格の最適バランスに拘りがあるとの事でした。 カリモク家具は、自社製品についてはメンテナンスのための修理やお手入れ対応は何年たってもやっていただけるそうです。 20年から30年経った家具の塗り替えや生地の張替は、毎月何件も当たり前の様にされているとの事でした。 60才を超えた私には大切に思うところです。 私は30年以上前、家族の記念に丈夫で大きなダイニングテーブルを購入しました。 三人の子供達と夫婦二人の家族はそこで食事をし、団欒を楽しみ、勉強もしました。 良いことも、悪いことも、楽しいことも、悲しいことも家族の成長とともに見守ってくれていたテーブルでした。 現在、三人の子供達は全員巣立ち、我が家は老夫婦の二人だけになったので、この機会にキズのついた大きなテーブルを処分し、小さめの新しいテーブルを買おうかなと考えたところ娘から反対をされました。 実家に帰ったときにあのテーブルがなくなっているのは嫌だと言われました。 なんだか嬉しくもあり、今もこれからもこの古い大きなテーブルはずっとこのままです。 孫がもう少し大きくなったら、塗り替えのお手入れをしようかなと考えています。 もしこのテーブルが10年位でガタガタしていたら、こんな話にはならなかったですね。 実は私の家にも10年以上前に購入したカリモク家具の小物があったので家具の裏を見てみると製品番号がありました。 これがある限りいつまでたっても安心です。 (カリモク小物家具) (製品番号) 渡邊工務店で建物を建てていただくお客様は天然木のカウンターのファンが多く、天然木のテーブルやカウンターを飛島の木材センターで天然木の銘木板材を選んでいただいて設置するケースが多いのですが、家具としての椅子を設えることが必要になります。 そんな時にカリモク家具で気に入った椅子をご検討いただくこともいいのかなと思いました。 下記は天然木カウンターに合いそうな椅子を私なりに選んでみましたがいかがですか? 皆様、直接ショールームに行かれるのも、渡邊工務店の営業もしくはインテリアのスタッフにお声をかけていただいてご来場いただくこともご検討頂ければ嬉しく存じます。 ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.09.30 /
第58回:森林を活かす都市の木造化推進協議会加盟のお知らせ
この協議会は、先人が戦後営々として育んできた我が国の森林資源が今まさに利用期に達しており、森林の健全性の維持及び地球温暖化防止、地方創生、国土強靭化等の観点から、その活用は森林・林業・木材産業関係者のみならず国民的な課題であるという趣旨で設立され、それに賛同される団体、企業、地方公共団体、学識経験者に参加を呼び掛けられました。 政治、行政、民間企業、学術機関が協力して日本の森林資源の充実と地球温暖化防止、地方創生、国土強靭化への森林資源の役割を増大していこうとするものです。 (森林を活かす都市の木造推進協議会のホームページより) 渡邊工務店は地域密着企業で、113年の業歴や地域とのつながりを大切にしています。渡邊工務店の本業を通じて「森林を活かす都市の木造化推進協議会」の掲げている課題解決に少しでも貢献したいとの想いから本協議会に入会致しました。 「森林を活かす都市の木造化推進協議会」の活動内容は林野庁の都市木造化関係の政策ともリンクしてきます。 その中でも渡邊工務店の本業に沿ったものを紹介します。 林野庁の林業成長産業化総合対策として事業の全体像を山で木を育てる森林組合や製材工場からそれをプレカット会社で加工し、そして都市で建築をする木材需要者(工務店、建設会社、ハウスメーカー等)までを川が流れるような川上から川下までの事業として捉え、それぞれ連携して木材の安定供給や流通コストの削減を推進し支援しています。 渡邊工務店は自社仕入れ・検査で高品質木材と価格削減に挑戦しています。 川上から川下までの事業過程に直接かかわっているところに大きな特色があります。 また、顔の見える東濃桧材を理解していただきたいとの事で、実際に東濃桧を仕入れている製材組合の山で植林ツアーを毎年開催しています。残念ながら今年は新型コロナウイルス感染症の関係で開催中止となりました。 (徹底した木材管理) (植林ツアー) このようにして良質な東濃桧や長良杉などの地域産材の振興と活用に寄与しています。また、113年の業歴を背景にしてその約半分の期間ですが、建物の60年長期保証システムを構築し、安心して末長く暮らしていただく取り組みも始めました。 地域材でお建ていただいた建物を適切なメンテナンスを入れながら長く使っていただくことによりウッドマイレージ(運ばれる木材の量が多い程、運搬の距離が長い程、輸送の為の燃料の量は増大し環境に対する負荷は大きくなりますが、「木材輸送量×輸送距離」を「ウッドマイレージ」として環境負荷を表し、環境についての課題を検討する数値的な指標)とスクラップ・ビルドの環境への負荷が軽減されると思います。 林野庁では「木造住宅の生産体制整備事業」として大工技能者等の担い手の確保・育成事業を支援しています。 渡邊工務店は自社専属の90余名の棟梁と大工をはじめ、300名を超えるエキスパートが所属する木造建築の職人カンパニーです。 単に組み立てるだけの仕事ではない高い技術の裏打ちが113年の業歴を支えてきたと思います。このような職人集団の中で若い職人が次々と育っています。 また地域密着企業の特色として独自の仕組みが渡辺社長自ら完成現場の出来映え確認を竣工検査とは別に行っており仕事を通じて匠の技の継承に寄与していると思います。 その他にも林野庁においては、木造耐火部材等の利用拡大、中高層建築物を中心としたCLT等の新たな木質建築部材の利用促進を支援しています。 渡邊工務店としても官公庁の建物や防災施設、ビル等を手掛けているので今後積極的に取り組んでいきたいと思っています。 森林を活かす都市の木造化推進協議会加盟を契機として渡邊工務店の本業を通じて地域の皆様により一層貢献していく気持ちを改めて強く持ちました。 ■森づくりの活動について詳しくはこちら ■SDGsの取り組みについて詳しくはこちら ■60年長期保証システムについて詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.09.02 /
第57回:大府平屋展示場デザインの再現性とお客様の家
先日、名古屋市名東区と瀬戸市にて、お客様のご厚意によりお引渡し前の建物の内覧会を2棟同時に開催させて頂きました。 どちらも平屋の建物の見学会で規模感や外観や内覧の雰囲気といい、健康木の住まいウッドビレッジ大府平屋展示場のデザインテイストを感じました。 杉材や桧材等の天然木だけでなく、外観や基本的な間取りとともに、マッハシステムを備え、キッチン、浴室、トイレなどの住宅設備機器も同様なデザインテイストに思いました。 多くの皆様に大府平屋展示場を見て頂き、平屋暮らしのデザインとして共感を頂き、ご参考にして頂くことができれば嬉しく思います。 大府平屋展示場の外観と内観 これから平屋を検討される皆様に大府平屋展示場をご覧いただければ幸いです。 ここからは見学会の建物の外観と内観を見学会当日私が写したスナップ写真です。 南側外観 ウッドデッキ 北側玄関 ダイニングキッチンと大黒柱・造作引戸 勾配天井と大黒柱 ■「天然木の家・快適エコライフ」大府平屋展示場について詳しくはこちら ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.08.26 /
第56回:パッシブデザインハウス
パッシブデザインハウスの“パッシブ”の意味は「受動的で自らは働きかけない」です。 地球環境に配慮したパリ協定の後、ドイツなどのヨーロッパの高緯度エリアで設計され自然エネルギーで住宅エネルギーを賄う、石油や外部からの電気・ガスを使わないゼロエネルギー住宅として見られることが多くなりました。 日本の昔の家もパッシブデザインハウスで、夏をもって旨とすべしと言うように、打ち水をしたり、葦簀をかけたり、朝顔や風鈴をしつらえたり、軒や庇の出を深くするなど様々な暑さをしのぐ工夫がされていていましたが、冬は厳しく現代の生活環境や気候環境の基準からすると快適な暮しには程遠いように思いました。 現代の日本では、建物のUA値(外皮平均熱貫流率といい家の中から外へ逃げる熱の値)を小さくし、電気・ガス・石油等、外部からのエネルギーをなるべく使わないようにして環境の負荷を下げ、快適に生活できる地球にやさしい暮らしを目指していると思います。 <パッシブゼロエネルギーを極める対策> ① UA値を下げる為に、高性能トリプルサッシの採用や断熱材を厚く強化し、家の隙間にシートを被せたりしてUA値を徹底的に下げる。 ② 建物の周りに落葉樹やグリーンカバーを配し、夏の日差しを緑葉で避け、冬は落葉で日差しを受け入れ、窓を開ければ清々しい風を感じる微気候デザインの植栽計画を行う。 ③ 軒の出を深くし、太陽の南中高度(太陽が真南にきて、いちばん高く上がったときの地平線との間の角度で夏の名古屋では70度位)の高い夏は日差しを遮り、南中高度の低い冬場(冬の名古屋では30度位)は建物の中まで日差しが入るようにする。 ④ 太陽光発電パネル、太陽熱温水器、地熱利用等の自然のエネルギーを取り入れる工夫をし、外部からの電気・ガス・石油を使わない地球に負荷をかけない仕組みを作る。 ⑤ ウッドマイレージを減殺する為、木材を遠く離れた海外から船で運んだりすることを止め、せっかくの天然木を、工業製品の様に集成材に加工する費用を省き、地産地消の地場木材を使い、地場産業育成により山林再生まで考えたサステナブルビジネスモデルを指向してゆく。 木材の価格差は外国産集成材と地域材の絶対価格差は縮小しています。 しかし価格の構成比はウッドマイレージの関係で外国産材は運搬燃料費の割合が多くかなり異なると思います。 ⑥ 雨水を利用する天水タンクを設置し、生ごみはコンポストで堆肥を作り自宅敷地内で再利用最終処理を行う。それにともない家庭菜園を促し、楽しく自家消費野菜を育てることにより結果的に社会に負荷をかけない仕組みを作る。 スウェーデンやドイツ等ではこのようなことを徹底的に追求して、外部からの電気・ガス・石油を使わないゼロエネルギー住宅や家庭菜園・家畜を育て自給自足の生活スタイルを徹底し、ある意味仙人のような暮らしを志向されている人々もいます。 渡邊工務店では天然木の住宅で快適に暮らすこと、負担するエネルギーと設備投資費用を一般的な樹脂サッシや断熱材をベースに家庭用エアコン1台で定められたUA値の均衡エネルギーバランスをデザインする“マッハシステム”で挑戦しています。 しかしながら、お客様に求められれば太陽光と太陽熱を両方活用したパッシブデザインのレジリエンス住宅を供給することも可能です。 国土交通省の主管する令和元年度サステナブル建築物等先導事業(省CO₂先導型)について渡邊工務店も参加するプロジェクトハイブリッド太陽エネルギー利用住宅先導プロジェクトが採択されていることも併せてご紹介いたします。 (FHアライアンスホームページより) 渡邊工務店は様々なポイント(建築予算、天然木の風合い、暮らしの快適さ、地域気候環境、地域産材との連携、UA値の均衡エネルギーバランスを考えた設備投資等)を深く検討し、新しい取り組みにもチャレンジしてお客様それぞれの住まいの最適解を求めていきたいと思います。 <ご参考コラム> ウッドマイレージのコラム 先導事業の取組のコラム レジリエンス住宅のコラム ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.08.18 /
第55回:草屋根
2014年6月の渡邊工務店のブログから木創庵の写真を紹介します。 木創庵は渡邊工務店の着工式を初めとしたお客様をおもてなしする施設として活用しています。 遠景はシャープな片流れの平屋の建物です。 渡邊工務店飛島本社の前に建っていますので、平屋の外観デザインの参考にご覧いただければ嬉しく思います。 少し寄ってみると屋根に草が生えています。 背景は渡邊工務店本社社屋です。 もう少し寄ってみるとシロツメクサ(クローバー)や雑草が分かります。 ここまで寄ると、どこかの草原ですね。 冬になるとこんな感じになります。 (ダイキン工業のHPより)ノルウェーの草屋根 草屋根はノルウェーが有名です。 屋根に木の皮を貼り、土をのせて草を植えます。 厳しい冬場は土の断熱性が寒さを防ぎ、夏場は草の蒸散作用の気化熱により、快適な暮し易い室内環境を実現できる昔ながらの工夫です。 草屋根と周りの草原が風景に溶け込んでいるので全体の景色が絵葉書の様に綺麗です。 雑草が生えても周りの草原と同化しているので雑草抜きの作業も不要で、その状態に風情があります。 ノルウェーの首都オスロの緯度は59.55、名古屋は35.10、札幌市は43,05なので如何に北国かがお分かりいただけると思います。居住するエリアにあった条件で断熱や省エネの工夫を昔からなされているところに敬意を感じます。 地域や風土と文化や社会そして設備の進化に調和した持続可能な木造建築を、渡邊工務店も目指していきたいと思います。 ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.08.11 /
第54回:窓と断熱材と適材適所
8月に入って毎日暑い日が続いています。 マスクで出歩くには厳しい暑さで、熱中症対策も気にかかるところです。 高気密・高断熱の住宅は室内の快適な暮らしには欠かせないことですね。 高気密とは隙間を無くして建物の気密性を高めることで主に窓サッシや玄関の対応であり、高断熱とは断熱材の性能を良くして建物の断熱性を高めることです。 北海道に行くと、窓はトリプルサッシやFIX窓、押出窓が多くみられ大開口の掃き出し窓は少ないように思います。 玄関を2重にした風除室の設置も愛知県では見られない設計です。 建物外観が北欧のようなイメージの街並みが見られます。 北海道内の主要都市と世界の都市の緯度の比較(緯度が高いほうが北極に近い) ミラノ:45.47、稚内市:45.40、サラエボ:43.85、旭川市:43.77、モナコ:43.73 マルセイユ:43.29、小樽市:43.19、ウラジオストク:43.12、札幌市:43.05 ローマ:41.89、函館市:41.78、バルセロナ:41.38 ちなみに、ベルリン52.31、ロンドン51.50、パリ48.51はずっと北方にあります。北欧スェーデンのストックホルムに至っては59.35です。 名古屋の緯度は35.10なので上記の都市に比べて随分南方です。 イラクのバクダッドが33.20、シドニーが33.52で名古屋に近いと思います。 愛知県に適合した快適な室内環境を造るには名古屋の緯度35.10にあった設計が必要です。 日本の家は“夏をもって旨とすべし”と言われていますが、本州の東京以南を前提にしていて北海道では“冬をもって旨とすべし”です。 ヨーロッパの都市も北海道より高緯度エリアが多く、昔の住まいは石造りで小さな窓の家が多かったと思います。 ちなみに緯度的に縦に長い日本の国土(37.7万㌔㎡)がもしヨーロッパにあると、ドイツ(35.5万㌔㎡)、イタリア(30.1万㌔㎡)、イギリス(24.2万㌔㎡)に比べで人口・国土面積とも凌駕している大国になると思います。 そんな地理的条件により、日本では快適な家造りの指標となるUA値は地域ごとに求められる数値が異なることとなりました。 UA値とは外皮平均熱貫流率といい家の中から外へ逃げる熱の値です。 下記表は平成25年省エネ基準の中のUA値省エネ基準 UA値を別の角度から説明すると温度を1度上げたり下げたりするときに1㎡当りにかかる外皮貫流熱量のことです。 W数で表すと1㎡当りの1度の温度変化には1W熱量が必要であり、それがUA値=1.0です。 一般的な2階建て40坪(外皮面積350㎡の場合)で検討してみましょう。 UA値=1.0の場合 350㎡×UA値1.0=350W(温度が1度上下変化するに必要な熱量) 温度を20度上げたいとすると20度×350W=7000Wのエネルギーが必要です。 UA値が=0.5の場合 同様の計算式なので3500Wの熱量で足ります。 よってUA値を1.0から0.5に小さくすればエネルギー(電気代)も半分になります。 先般見学会を開催した街角モデルハウスはUA値0.46なので3220Wになります。 家庭用ルームエアコン14帖タイプは4.000Wなので熱量的にはこのエアコン一台で下記名古屋市の気象データであれば真冬の最低低気温にも対応できると思います。 居住室内全体の空気環境を満遍なく室内温度20度に設定・維持すれば高原リゾートで暮らす別荘生活と同様に快適な暮らしが実現できると思います。 新芽時の高原の小川に流れる梅花藻ですが、マッハシステムで建物内にこんな気候を実現したいと考えています。 名古屋市 年平均気温:15.8 ℃ 年降水量:1535.3 mm 統計期間:1981~2010(気象庁データより) よって、快適な居住空間を得るには断熱材や窓の性能アップの競争ではなくそのエリアの気象環境と建物のUA値、空調機や換気システムなどの室内空気環境を維持するための設備の投資を含めたバランスが重要になると思います。 その窓と断熱材によって、愛知県で建てる建物空気環境の何をどのようにしたいのかを問いたいと思います。 マッハシステムのような全館空調システムと組み合わせて初めて良質な空気環境は実現すると思います。 良質な空気環境の実現を窓や断熱材のスペック競争でごまかしてはいけないと思います。 渡邊工務店は木材の適材適所と同様な価値観でマッハシステムを取り入れて室内の快適な空気環境の実現を追求しています。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.07.14 /
第53回:ひまわりからゴッホ
先日、雨模様の曇り空の中、ひまわりの群生を見てきました。 ひまわりの花は華やかでほっとするひと時でした。 ひまわりを見るとゴッホを思い出します。 私の好きなゴッホは「ローヌ川の星月夜」と「夜のカフェテラス」で夜景のシーンです。 「ローヌ川の星月夜」 「夜のカフェテラス」 どちらの絵も夜空のブルーが好きな処です。 私は絵画に詳しくはありませんが、印象派が好きで、中でもモネが好きです。印象派は形よりも光や色彩の印象を描いた絵画だと思います。 ゴッホは形に少しこだわりがあり、ポスト印象派と呼ばれていますが、こちらの夜景の光と色彩の扱いは好きなところです。 夜に音楽を聴きながら、夜景の映えるゴッホの小さなレプリカがリビングに掛けてあったら素敵な空間になると思います。 最近は新型コロナウイルス感染症の関係で世界中の美術館がお家で鑑賞できるサイトや、 グーグル、アート&カルチャーのストリートビューで美術館内巡りが出来てすごい時代になったと思います。 リビングに飾ってインテリアとしても楽しみたい絵画が見つかったら、小さなレプリカを暮らしの生活シーンで活かして頂けたらうれしく思います。 モネが気になる方はこちらも宜しくお願いします。 第12回:春を感じたらモネの絵を飾ります。 -
2020.06.26 /
第52回:竹中大工道具館探訪
竹中大工道具館は竹中工務店が1984年に開設した企業博物館で大工道具を収集・保存することを目的とする日本唯一の博物館です。 世界最大級の旅行コミュニティサイトのトリップアドバイザーで工場見学・社会科見学部門の第2位になったこともあります。 やはり第1位は世界のトヨタ関連です。 新型コロナウイルス感染症以前は日本の文化に関心のある外国の方や、どちらかの棟梁が若手の大工の研修の為なのか、博物館内を案内されているところが見受けられました。 館内は静かで落ち着いた大人のスペースです。 神戸経済ニュースより 博物館には、大工道具だけでなく様々な木材や木造建築に関する展示となっています。 新型コロナウイルス感染症の関係で暫く閉館していましたが、事前予約制で開館しましたので行ってきました。 駐車場に車を止めると立派な門がありその奥に博物館の建物があります。 樹々が茂っていて建物全景が見えませんが、アプローチからは風情のある感じです。 玄関ロビーです。 こちらで館内の写真撮影はOKと言われたので、ホームページの住まいのコラムに載せてもいいかお聞きしたところ、「エッセイのようなものならいいですよ。」とのことでしたので探訪記としてUPさせていただきました。 ロビーホールでは「木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン」の特別展を開催していました。ホールの奥に見える中庭が雨に濡れて綺麗でした。 屋根組の展示です。 軒の仕組は精緻でした。 吹抜けホールにある木組みです。 こちらは数寄屋造りが理解できるエリアです。 土壁の施工方法です。 数寄屋造りの材料は自然のままの皮つきの丸太や竹を使うことが多いです。その木々の展示です。耐久性よりも自然の風情優先です。 様々な木々の木材を理解するコーナーです。 後ろから見た所は、原木感溢れる丸太群です。 オーク、松、桧の順で同じ大きさの立方体を持ち上げることのできるように並べてあります。 それぞれ重さが異なり、木の種類によって性質が異なることが実感できます。 当日はまだ新型コロナウイルス感染症の影響で触れることはできませんでした。 大工道具の展示です。 1943年に行われた調査によると、当時木造建築施工に必要な大工道具は179点、どんなに安普請でも72点は必要のようでした。 本格的な建物に求められる強固な木組みと精緻な仕上げの為に多くの大工道具が必要とされていたとのことです。戦後になると新しい構法や電動工具の普及により大工道具は減少していきます。 渡邊工務店の専属大工の皆さんは社寺や精緻な仕上げを要する和室の施工ができます。 また、持っている大工道具の種類も多いです。これらのことは和室に限らず建物全ての出来映えはもちろん、仕事へのこだわりや丁寧さの尺度でもあるように思います。 木造建築に興味のある方は、機会があれば「竹中大工道具館」を訪れて頂ければ嬉しく思います。 ご案内 映像「大工さんってスゴイ!」 竹中大工道具館【期間限定】 おうちでミュージアムより小学生の子どもたちが建物に興味を持ち、大工さんに出会って道具を体験するお話で、大工さんの仕事や道具を楽しく紹介しています。 ■熟練大工の匠の技について詳しくはこちら ■社寺建築について詳しくはこちら