2022.12.06 /
12月になるとクリスマスの飾りつけをし、年末はお正月の準備をするご家庭も多いかと思います。
日本の伝統的な数寄屋の住まいには、天然の無垢の素材を使い、ほぼ無性格な部屋の特徴を背景に室礼(しつらい:飾りや調度をその場にふさわしく整えること)という方法で四季の季節感を醸し出し、お正月のような祭りごとを祝う雰囲気を作っていました。
その機能を最もよく表すのが床の間だと思います。
水屋や広縁を隣接する床の間のある和室 ⇒「天然木の家・我が家の発電所」大府展示場
何気ないように見える床の間ですが、昔からのルールに則って作られていると落ち着きがあります。
例えば落とし掛けの高さは床框(とごかまち)の前より少し下がって座って、床の間の廻り縁が隠れるくらいが程よく、床の間の飾り付けにそこはかとなく趣が出ると言われています。
落とし掛けを高くしすぎると落ち着きがなくなり和室が粗野になるように感じます。
床の間はその家の冠婚葬祭の礼の場を作り、お客様が来られた時には床の間の壁の向釘(むこうくぎ:床の間正面の壁の中央に、掛花入を掛けるために打つ折)に好みの掛花入をかけて季節の花でおもてなしもできます。
好みの掛軸をかけたり、小物を置いたりして自由にアレンジするのも面白いと思います。
それに合わせて家具や座布団なども合わせていくといい雰囲気になりますね。
天然木で建てる百年住み継ぐ家 ⇒ 渡邊工務店施工実績集より
床の間は掛け軸や花を選んだり陶磁器を置いたり、和室の机、座布団などのセッティングと共にシンプルな和室をその時々の用途や雰囲気に合った空間に変えていきます。
床の間のある和室はお客様をもてなす接遇の部屋ですが、客間にもなり家族の祝いの場やだんらんの場にもなります。
床の間の飾りと部屋の室礼で一つの部屋が様々に変化し、色々な季節や場面にその用途を対応させることができますね。
最近の家は、和室が無い家も多く、あっても床の間の無い家も見受けられますが部屋のどこかに室礼のできるスペースを作っておくと、室礼の工夫でプラン上では無駄な空間に見えますが日々の豊かな暮らしを提供してくれるように思います。
室礼のできる家は暮らしていくうえで価値のある家のように思います。
シンプルモダンの家にこそ数寄屋の心で床の間のような機能のスペースを作って季節の彩りやおもてなしの工夫をするのも良いのかなと思います。
下記はシンプルモダンの部屋ですが室礼に習って小物でクリスマスを設えてみました。
我が家では小さな子との共同作業です。
家族だけの事なので極めてフランクですがモダンな空間との対比が面白いです。
左側のマッキントッシュのハイバックチェアは座る為のものではなく、寝室の室礼としてモダンな佇まいを醸し出すために作られたといわれています。
床の間に似たところがありますね。
右は黒御影のカウンターで普段は物を置く場所というより、壁に掛けた小物の絵や布をピクチャーライトで照らして楽しんでいます。
本格和室のような佇まいには及びませんが室内を綺麗に片づけたモダンな空間に5%位を遊び心で設えると気分はクリスマスの室礼になりました。
渡邊工務店は数寄屋の心で本格和室の室礼やシンプルモダンの造作を実現できる職人の技量と素材を見る目を持っています。
大府展示場を含め渡邊工務店の各住宅展示場で室礼をご体感いただければ嬉しく思います。
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