2020.04.27 /
最近、住宅の新しい形として「レジリエンス住宅」が各社から提案され、渡邊工務店においてもその取り組みに注力しており、この機会にご紹介したいと思います。
レジリエンスという言葉は私たちの本業である住宅だけでなく、心理学や、経営学・組織災害論などの分野において、広く使われるようになりました。
今般の新型コロナウィルス感染症対策における国や地方行政の対応、渡邊工務店も含めた企業の対応、家族や個人の対応においてレジリエンスの思想は考えさせられるところがあり、商品の紹介を超えてお伝えさせていただきたく存じます。
レジリエンスとは、跳ね返り、弾力、回復力、復元力という意味を持つ言葉です。
ストレスと共に、物理学の分野で使われていた言葉でしたが、近年では個人・組織ともに通用する「さまざまな環境・状況に対しても適応し、生き延びる力」として使われるようになりました。心理学の分野だけでなく、組織論や社会システム論、さらにはリスク対応能力、危機管理能力としても広く注目される用語だそうです。
第二次世界大戦の、ある戦争孤児達の追跡調査において、レジリエンスの思想が広く知られるようになりました。過去のトラウマで生きる気力も萎え経済的にも精神的にも不幸な人生を送る人達がいる一方、それらの苦しみを乗り越え幸せで豊かな人生を送っている人達がいることが調査結果で明らかになりました。苦しみを乗り越えた人達には、どんな困難や逆境もそれに押しつぶされることなく「それらの状況に応じて生き抜く回復力」という共通の傾向があったそうです。
同じような観点で日本が世界中から注目されたのは、2011年の東日本大震災での出来事でした。
大地震による建物倒壊、津波、福島原発事故の災害に見舞われた後も暴動やヒステリックな行動は見られず、落ち着いて、整然と復興に取り組む日本人の姿は世界の人たちを驚かせました。
この様な予期せぬ天変地異や大災害に立ち向かうには国家としてのレジリエンスが必要不可欠だと考えられています。
現在、国際会議であるダボス会議等でもレジリエンスはメインテーマとして採択され、グローバル化が進む現代社会では、今回の新型コロナウィルス感染症のパンデミックだけでなく、かつてのリーマンショックのような経済や金融危機が起きれば、被害が瞬く間に世界中に広がってしまいます。
そんな悪状況の中でも困難を乗り越えて元に回復させる国こそ、強力なレジリエンスという国力を持っていると考えられます。
日本は新型コロナウィルス感染症対策で非常事態宣言が発令されており、個人の活動は様々な不便があり、企業の活動も制限されていて先々の不安は増すばかりです。
しかしながら、日本人にはどんな困難や逆境もそれに押しつぶされることなく「それらの状況に応じて生き抜く回復力」を持っていると考えられています。
今回を乗り越えれば国家、企業、個人のそれぞれのレジリエンス力は更に向上し将来の糧となると思います。
そうなることを信じてもう少し頑張ってみようと思います。
住宅の場合の「それらの状況に応じて生き抜く回復力」の意味でのレジリエンスとは、普段は省エネで快適な暮らしを楽しむことができるが、万が一災害に遭遇してライフラインを断たれても数日間は家で暮らせて災害復旧後も速やかに以前の暮らしに戻ることができる回復力のあることだと思います。
しかしながら、現在の様にステイホームとして自宅に家族で留まり、リモートワークで社会の回復を待っている状態が明けたとき、家族や、会社、社会との関わり方の価値観や行動様式に大きな変化があるように思います。
普段から家に家族といることを大切にし、リモートで仕事や社会とのかかわりもある程度できるようになると災害対策だけでなく、住宅のプランや通勤時間の対応等の心理的なレジリエンス力の高い家が求められるような気がしてなりません。(ご参考コラム:大きなダイニングテーブル)
渡邊工務店のレジリエンス住宅のご紹介
まず、先導事業取組事業として先週完成した、愛知県飛島村のお客様の建物です。
その時のチラシの裏面です。
(ご参考コラム:先導事業の取組)
次は、現在北名古屋エリアで建築中の街角モデルハウスです。
その建物は、上記先導モデル事業に準じた仕様に加えて建物基礎高を通常より高くし、給湯器などの設備機器もその高さに合わせて万が一、水の被害にも対応できるようにしてあります。
建物オープンの折にはお知らせさせて頂きます。
そして、新商品「マッハ空間」です。
全館空調マッハシステムを搭載し、日々の暮らしは快適です。太陽光パネルを屋根貸しスタイルで搭載していますので万が一のライフライン対策の非常用電源として安心して頂けると思います。
現在は世の中の価値観が大きく変化する時期のように思います。
レジリエンスという思想を、住宅を通して少しでも皆様にお伝えできれば幸いです。
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