2019.04.11 /
健康長寿の家と耐久性の高い家は少しニュアンスが異なると思います。
建物の長寿命を考えるときは、物理的に長持ちする材料を選択することを重視することがあります。
木より鉄やコンクリート、石やレンガ、そしてタイル、場合によっては新技術で開発された独自の新素材を使って長持ちする。
無機質で工業製品のような長持ちする家だけを長所として捉えるのではなく、日々の暮らしに寄り添った長持ちさせたくなるような家も良いと思います。
人工的な新しさのままの建物よりも、手入れの行き届いた古い木造の建物や街並みもいいものだと思います。
日本人の肌感覚で健康長寿命の家は、天然木を使い、熟練の専属大工で施工された日本建築の家、長持ちする家より長持ちさせたくなるような家だと思います。
そして家守りとしてその家の長寿命を担っていくのは、その建物を建てた代々続く地域の工務店が相応しいと思います。
例えば住宅会社が60年長期保証を標榜するのなら、その60年の家守りをその住宅会社にゆだねるには、その倍位の120年近い社歴があって安心できるのではと思います。
長期保証のシステムとして、60年長期保証の仕組みは作ることはできますが、その期間を家守りとしてお付き合いし、維持管理をしていくには相応の社歴が必要だと思います。
その維持管理の内容は高度な技術で対応するというよりも、私たちの歯のメンテナンスと同じように定期的な検査で状況を目視・確認し、虫歯や歯槽膿漏で痛み、抜歯をするようになる前に適切な処置を行い、年を重ねても残存歯数が約20本あれば食品の咀嚼が容易で快適な生活ができ、そして何よりも丈夫な自分の歯は長生きの源泉であることとよく似ているように思います。
日本歯科医師会が提唱されている80歳で自分の歯を20本持つことを目指している8020運動と同様のような感じかなと思います。
この8020運動の目的は健康で快適な長寿社会の実現で、年を重ねても快適な質の高い生活を長く続け、個人の負担だけでなく、医療費軽減による国の財政負担の軽減にも寄与していくことだと思います。
私たちの歯もいくらお金をかけて義歯を造っても、自分の歯で生活する方が快適ですし、治療の痛みもなくて見栄えも良く、何より多額の費用も掛かからず長生きの源となります。
住宅の長期維持管理の趣旨も末永く快適に暮らし、突発的で大きな費用もかけず、見栄えの良い家を維持管理していくことなので、自分自身の歯の維持管理と同じような意味合いになるのかなと思います。
住宅会社の建物の維持管理のスタンスは、愚直に末長くお付き合いを続けていくことだと思います。
そう考えると、どんな長期管理システムよりも我が家を建築した住宅会社が無くなってしまうことが一番の長期維持管理継続のリスクになると思います。
いつでも外観が見られる渡邊工務店の施工事例として白鳥庭園の清羽亭が築30年ほど経っています。
白鳥庭園を訪れて頂くと、維持管理を継続しながらそれなりに古くなった木造建築の佇まいを感じて頂けると思います。
エイジングケアを正しくして、時の流れを風情として楽しめる家もいいと思いますが、如何ですか?
渡辺社長が欠かさず実施しています出来映え検査に私もよく同行いたしますが、その折長寿命住宅に関するお話をお引渡し前の建物を見ながらお聞きすることがあります。
今回のコラムはそんな時にお聞きしたお話を参考にさせて頂きました。
実は、4月27日土曜日の中日新聞新聞朝刊にて、中日新聞の経済部長による渡辺社長のインタビュー記事が掲載されます。
そのインタビュー取材が4月5日金曜日 中日新聞本社1階応接室で行われました。
その中で長寿命住宅についても語られていますので、4月27日土曜日中日新聞朝刊掲載のインタビュー記事をご拝読頂ければ有難く存じます。
2019.04.09
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