-
2020.08.18 /
第55回:草屋根
2014年6月の渡邊工務店のブログから木創庵の写真を紹介します。 木創庵は渡邊工務店の着工式を初めとしたお客様をおもてなしする施設として活用しています。 遠景はシャープな片流れの平屋の建物です。 渡邊工務店飛島本社の前に建っていますので、平屋の外観デザインの参考にご覧いただければ嬉しく思います。 少し寄ってみると屋根に草が生えています。 背景は渡邊工務店本社社屋です。 もう少し寄ってみるとシロツメクサ(クローバー)や雑草が分かります。 ここまで寄ると、どこかの草原ですね。 冬になるとこんな感じになります。 (ダイキン工業のHPより)ノルウェーの草屋根 草屋根はノルウェーが有名です。 屋根に木の皮を貼り、土をのせて草を植えます。 厳しい冬場は土の断熱性が寒さを防ぎ、夏場は草の蒸散作用の気化熱により、快適な暮し易い室内環境を実現できる昔ながらの工夫です。 草屋根と周りの草原が風景に溶け込んでいるので全体の景色が絵葉書の様に綺麗です。 雑草が生えても周りの草原と同化しているので雑草抜きの作業も不要で、その状態に風情があります。 ノルウェーの首都オスロの緯度は59.55、名古屋は35.10、札幌市は43,05なので如何に北国かがお分かりいただけると思います。居住するエリアにあった条件で断熱や省エネの工夫を昔からなされているところに敬意を感じます。 地域や風土と文化や社会そして設備の進化に調和した持続可能な木造建築を、渡邊工務店も目指していきたいと思います。 ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.08.11 /
第54回:窓と断熱材と適材適所
8月に入って毎日暑い日が続いています。 マスクで出歩くには厳しい暑さで、熱中症対策も気にかかるところです。 高気密・高断熱の住宅は室内の快適な暮らしには欠かせないことですね。 高気密とは隙間を無くして建物の気密性を高めることで主に窓サッシや玄関の対応であり、高断熱とは断熱材の性能を良くして建物の断熱性を高めることです。 北海道に行くと、窓はトリプルサッシやFIX窓、押出窓が多くみられ大開口の掃き出し窓は少ないように思います。 玄関を2重にした風除室の設置も愛知県では見られない設計です。 建物外観が北欧のようなイメージの街並みが見られます。 北海道内の主要都市と世界の都市の緯度の比較(緯度が高いほうが北極に近い) ミラノ:45.47、稚内市:45.40、サラエボ:43.85、旭川市:43.77、モナコ:43.73 マルセイユ:43.29、小樽市:43.19、ウラジオストク:43.12、札幌市:43.05 ローマ:41.89、函館市:41.78、バルセロナ:41.38 ちなみに、ベルリン52.31、ロンドン51.50、パリ48.51はずっと北方にあります。北欧スェーデンのストックホルムに至っては59.35です。 名古屋の緯度は35.10なので上記の都市に比べて随分南方です。 イラクのバクダッドが33.20、シドニーが33.52で名古屋に近いと思います。 愛知県に適合した快適な室内環境を造るには名古屋の緯度35.10にあった設計が必要です。 日本の家は“夏をもって旨とすべし”と言われていますが、本州の東京以南を前提にしていて北海道では“冬をもって旨とすべし”です。 ヨーロッパの都市も北海道より高緯度エリアが多く、昔の住まいは石造りで小さな窓の家が多かったと思います。 ちなみに緯度的に縦に長い日本の国土(37.7万㌔㎡)がもしヨーロッパにあると、ドイツ(35.5万㌔㎡)、イタリア(30.1万㌔㎡)、イギリス(24.2万㌔㎡)に比べで人口・国土面積とも凌駕している大国になると思います。 そんな地理的条件により、日本では快適な家造りの指標となるUA値は地域ごとに求められる数値が異なることとなりました。 UA値とは外皮平均熱貫流率といい家の中から外へ逃げる熱の値です。 下記表は平成25年省エネ基準の中のUA値省エネ基準 UA値を別の角度から説明すると温度を1度上げたり下げたりするときに1㎡当りにかかる外皮貫流熱量のことです。 W数で表すと1㎡当りの1度の温度変化には1W熱量が必要であり、それがUA値=1.0です。 一般的な2階建て40坪(外皮面積350㎡の場合)で検討してみましょう。 UA値=1.0の場合 350㎡×UA値1.0=350W(温度が1度上下変化するに必要な熱量) 温度を20度上げたいとすると20度×350W=7000Wのエネルギーが必要です。 UA値が=0.5の場合 同様の計算式なので3500Wの熱量で足ります。 よってUA値を1.0から0.5に小さくすればエネルギー(電気代)も半分になります。 先般見学会を開催した街角モデルハウスはUA値0.46なので3220Wになります。 家庭用ルームエアコン14帖タイプは4.000Wなので熱量的にはこのエアコン一台で下記名古屋市の気象データであれば真冬の最低低気温にも対応できると思います。 居住室内全体の空気環境を満遍なく室内温度20度に設定・維持すれば高原リゾートで暮らす別荘生活と同様に快適な暮らしが実現できると思います。 新芽時の高原の小川に流れる梅花藻ですが、マッハシステムで建物内にこんな気候を実現したいと考えています。 名古屋市 年平均気温:15.8 ℃ 年降水量:1535.3 mm 統計期間:1981~2010(気象庁データより) よって、快適な居住空間を得るには断熱材や窓の性能アップの競争ではなくそのエリアの気象環境と建物のUA値、空調機や換気システムなどの室内空気環境を維持するための設備の投資を含めたバランスが重要になると思います。 その窓と断熱材によって、愛知県で建てる建物空気環境の何をどのようにしたいのかを問いたいと思います。 マッハシステムのような全館空調システムと組み合わせて初めて良質な空気環境は実現すると思います。 良質な空気環境の実現を窓や断熱材のスペック競争でごまかしてはいけないと思います。 渡邊工務店は木材の適材適所と同様な価値観でマッハシステムを取り入れて室内の快適な空気環境の実現を追求しています。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■資料請求はこちら -
2020.07.14 /
第53回:ひまわりからゴッホ
先日、雨模様の曇り空の中、ひまわりの群生を見てきました。 ひまわりの花は華やかでほっとするひと時でした。 ひまわりを見るとゴッホを思い出します。 私の好きなゴッホは「ローヌ川の星月夜」と「夜のカフェテラス」で夜景のシーンです。 「ローヌ川の星月夜」 「夜のカフェテラス」 どちらの絵も夜空のブルーが好きな処です。 私は絵画に詳しくはありませんが、印象派が好きで、中でもモネが好きです。印象派は形よりも光や色彩の印象を描いた絵画だと思います。 ゴッホは形に少しこだわりがあり、ポスト印象派と呼ばれていますが、こちらの夜景の光と色彩の扱いは好きなところです。 夜に音楽を聴きながら、夜景の映えるゴッホの小さなレプリカがリビングに掛けてあったら素敵な空間になると思います。 最近は新型コロナウイルス感染症の関係で世界中の美術館がお家で鑑賞できるサイトや、 グーグル、アート&カルチャーのストリートビューで美術館内巡りが出来てすごい時代になったと思います。 リビングに飾ってインテリアとしても楽しみたい絵画が見つかったら、小さなレプリカを暮らしの生活シーンで活かして頂けたらうれしく思います。 モネが気になる方はこちらも宜しくお願いします。 第12回:春を感じたらモネの絵を飾ります。 -
2020.06.26 /
第52回:竹中大工道具館探訪
竹中大工道具館は竹中工務店が1984年に開設した企業博物館で大工道具を収集・保存することを目的とする日本唯一の博物館です。 世界最大級の旅行コミュニティサイトのトリップアドバイザーで工場見学・社会科見学部門の第2位になったこともあります。 やはり第1位は世界のトヨタ関連です。 新型コロナウイルス感染症以前は日本の文化に関心のある外国の方や、どちらかの棟梁が若手の大工の研修の為なのか、博物館内を案内されているところが見受けられました。 館内は静かで落ち着いた大人のスペースです。 神戸経済ニュースより 博物館には、大工道具だけでなく様々な木材や木造建築に関する展示となっています。 新型コロナウイルス感染症の関係で暫く閉館していましたが、事前予約制で開館しましたので行ってきました。 駐車場に車を止めると立派な門がありその奥に博物館の建物があります。 樹々が茂っていて建物全景が見えませんが、アプローチからは風情のある感じです。 玄関ロビーです。 こちらで館内の写真撮影はOKと言われたので、ホームページの住まいのコラムに載せてもいいかお聞きしたところ、「エッセイのようなものならいいですよ。」とのことでしたので探訪記としてUPさせていただきました。 ロビーホールでは「木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン」の特別展を開催していました。ホールの奥に見える中庭が雨に濡れて綺麗でした。 屋根組の展示です。 軒の仕組は精緻でした。 吹抜けホールにある木組みです。 こちらは数寄屋造りが理解できるエリアです。 土壁の施工方法です。 数寄屋造りの材料は自然のままの皮つきの丸太や竹を使うことが多いです。その木々の展示です。耐久性よりも自然の風情優先です。 様々な木々の木材を理解するコーナーです。 後ろから見た所は、原木感溢れる丸太群です。 オーク、松、桧の順で同じ大きさの立方体を持ち上げることのできるように並べてあります。 それぞれ重さが異なり、木の種類によって性質が異なることが実感できます。 当日はまだ新型コロナウイルス感染症の影響で触れることはできませんでした。 大工道具の展示です。 1943年に行われた調査によると、当時木造建築施工に必要な大工道具は179点、どんなに安普請でも72点は必要のようでした。 本格的な建物に求められる強固な木組みと精緻な仕上げの為に多くの大工道具が必要とされていたとのことです。戦後になると新しい構法や電動工具の普及により大工道具は減少していきます。 渡邊工務店の専属大工の皆さんは社寺や精緻な仕上げを要する和室の施工ができます。 また、持っている大工道具の種類も多いです。これらのことは和室に限らず建物全ての出来映えはもちろん、仕事へのこだわりや丁寧さの尺度でもあるように思います。 木造建築に興味のある方は、機会があれば「竹中大工道具館」を訪れて頂ければ嬉しく思います。 ご案内 映像「大工さんってスゴイ!」 竹中大工道具館【期間限定】 おうちでミュージアムより小学生の子どもたちが建物に興味を持ち、大工さんに出会って道具を体験するお話で、大工さんの仕事や道具を楽しく紹介しています。 ■熟練大工の匠の技について詳しくはこちら ■社寺建築について詳しくはこちら -
2020.06.17 /
第51回:古民家カフェの杉柱
こちらは渡邊工務店飛島本社吹抜けロビーにある杉柱です。 高さは10mくらいで3階建ての高さです。存在感があり渡邊工務店の象徴です。 本社にご来訪の際はご覧いただければ嬉しく思います。 この杉柱の産地は長良杉で、岐阜県長良川の川上エリア郡上郡の地域産材です。長良杉は、その木目の美しさに定評があります。 白身と赤身が混在したものは、源氏と平家の旗色にちなみ「源平」と呼ばれ、その美しさも長良杉の魅力で手触りはきめ細かで柔らかです。最近では大府平屋展示場で源平杉を使用していますので展示場で体感頂ければ幸いです。 ところで先日、神戸の山里にある古民家薬膳カフェにランチに行きました。築120年の農家を薬膳カフェの為にリフォームされたとのことです。 その建物は屋久杉の柱で建築された古民家でした。 ローゼン ファームズ カフェ (RAWZEN FARMS CAFE)(食べログ) 開店間もないようですが、趣のある古民家の造作や什器備品の数々は、オーナーのセンスとマッチして素敵なカフェ空間を醸し出していました。 屋久杉は屋久島の標高500m以上の栄養の少ない花崗岩山地に自生し、通常の杉の樹齢は500年と言われているなか、樹齢1,000年以上の杉のみが名のることのできるプレミアムな杉です。 屋久島は雨が多く高地の自生地は厳しい環境の為、通常の杉に比べ半分の成長率しかありませんが、年輪の目が詰まった油脂分の多い質の高い杉に成長し建築材として珍重されました。 中には2,000年以上の樹齢のある屋久杉もあるそうです。ちなみに現在の屋久杉は新規で切り出せないので、より貴重な建築材の建物です。 こちらのカフェの建物で屋久杉の良さ、大工の仕事の良さ、そしてオーナーの趣味の良さを感じました。 (店内情景) 一般の住宅のインテリア空間に当たるところですが、床の間とのマッチ、欄間の設え、昔に先代がお願いして近くのお寺のご住職に揮毫(きごう)いただいた襖、そして様々な小物や什器などが雰囲気のある空間を作っています。 120年も経っているのに隙間や狂いのない屋久杉の柱や造作の収まりはキッチリとしていて、その柱は構造躯体としても化粧材としても存在感と風合いがあります。 良質な木材と120年経っても寸分の狂いもない高い技能と丁寧な大工の仕事は時を経て証明され、古民家が新しい世代に生まれ変わり受け継がれていくことが嬉しく思いました。 渡邊工務店の東濃桧や長良杉等の地域産材を活かした天然木の家も、時代にマッチして何代にも渡って暮していただけたらいいなと感じました。 ■会社情報について詳しくはこちら ■森づくりの活動について詳しくはこちら ■天然木で建てる家について詳しくはこちら ■「天然木の家・快適エコライフ」大府平屋展示場について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら -
2020.06.11 /
第50回:ネットとリアル
6月に入り新型コロナウイルス感染症対策による休業要請の緩和により、経済活動も少しずつ回復していく事を期待しています。 5月のゴールデンウィークの住宅展示場は例年なら一年で最も人出があり、キャラクターショーに良い子の皆さんの歓声があって、とても賑やかですが、残念ながら今年は人の気配のない寂しい情景でした。 しかしながら5月のインターネットからのお問い合わせが昨年の3倍近くあり驚いています。 外出自粛の影響もあるかもしれませんが、インターネットの活用によるリモートワークや在宅勤務によって働き方だけでなく、家族や社会の価値観が変化していくと渡邊工務店の仕事の仕方も変わっていくように思いました。 かつて、百貨店や大型スーパーが「なんでもあるけれど欲しいものが無い」と言われ、業態改革を余儀なくされ、オーナーのセンスが光るセレクトショップや専門店が脚光を浴びるように変化していきました。 SNSによる個人の情報発信の拡散も大きく寄与しているように思います。 大きな宣伝費等の投資をしなくても大手企業と対等以上に戦うことのできる市場が形成されていくように思います。 そして、これからは住宅業界もインターネットの対応を通じて同様の歴史をたどるように思いました。 多額の費用をかけてテレビや新聞広告を行い、総合展示場を運営するような業態からインターネットを通じてオーナーのセンスが光るセレクトショップや専門店のような住宅会社が注目されるようになると思います。 渡邊工務店もホームページを初めとしてインターネットの環境を整備してお問い合わせの皆様にお役に立てるように対応していきたいと考えています。 しかしながら、その時に大切なのはインターネットで検索するお客様の、天然木にこだわる価値観に合った際立つリアルだと思います。 渡邊工務店のインターネットの奥にある飛島本社エリアのリアルを一部紹介します。 ① 自社で検査し番付を行う木材センター ② 実物の天然木の各種板材を吟味頂けるスペース ③リアルサイズの住宅展示場 ふたりVer.2展示場 「マッハ空間」展示場 天然木にご関心のある皆様にご参考頂けるようなリアルをこれからも紹介させて頂きますので宜しくお願いいたします。 ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■ふたりの詳細・展示場予約はこちら ■「マッハ空間」の詳細・展示場予約はこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら ■オンライン家造り相談について詳しくはこちら -
2020.05.11 /
第49回:ウッドマイレージ
マイレージと言うと、空の旅で航空会社が自社路線の利用者に対して搭乗距離の増加に応じて様々な特典が与えられるシステムが有名です。 マイルを楽しみに飛行機に乗られる方も多いかと思います。 ところで、木材の世界にもウッドマイレージというマイルがあります。 建築材としての木材は生産・伐採地から建築地までの輸送に石油等の化石燃料を使用しているので、大気中に温室効果ガス(二酸化炭素)を排出しながら運ばれてきます。 運ばれる木材の量が多い程、運搬の距離が長い程、輸送の為の燃料の量は増大し環境に対する負荷は大きくなります。 そこで「木材輸送量×輸送距離」を「ウッドマイレージ」として環境負荷を表し、環境についての課題を検討する数値的な指標としています。 こちらのマイルは貯まらないほうが環境に優しいように思います。 「森林林業・林業学習館」のホームページより参照 日本の森林資源は国土の7割近くを占めているのに実際は多くの外国産材を輸入している為、アメリカやドイツに比べてもウッドマイレージが非常に高くなっています。 木造住宅といっても多くの量産型プレハブメーカーや地域ビルダーによっては、プレカット会社から仕入れる集成加工部材を建築現場で組み立てるだけにして大工・職人の技量にかかわらず短期間に均質化された住宅を供給できるような仕組みを作り、工業化製品の様に住宅を手掛けるようになりました。 木材プレカット会社は仕入れた大量の外国産材をその工場で集成材に成型し、その集成材を建物各部位に加工した集成製品を建築資材として住宅会社に供給しているケースが多くなりました。但し、集成材の大量生産や工業化による費用低減効果がウッドマイレージで減殺されるのは残念なことだと思います。 目を向けて頂きたいことは、ウッドマイレージの負担だけでなく昨今の国際情勢と日本の木材産業の環境が外国産材と国産材の価格差を縮小してきていることです。 そう考えると、ウッドマイレージの負担分がない国産材、それも評価の高い地域の東濃桧や長良杉の天然木で建築を検討することは価値のあることだと思います。 しかしながら東濃桧や長良杉の東海地方の地域国産材は天然木を扱う大工・職人の技量が無いとその良さを活かすことができないので、その建築は誰でも扱える仕事ではないと思います。 そして、国産天然木の良さを活かした住宅は工業化製品の集成材で作られた住宅とは違った趣を感じて頂けると思います。 新型コロナウイルス感染症終息後の世界がどうなるのかを考えたときに、まだまだ大変な時ですが、こと環境問題においてはインドや中国で空や空気が清々しくなり、ベネチアの海がきれいになったニュースを見聞きし、ステイホームやリモートワークで家族の価値観や働き方の変化が起こるかもしれないと考えると、 地域材住宅会社としての渡邊工務店は森を守る活動に加え、技量のある大工・職人の仕事やウッドマイレージを通して世の中に貢献していけるのかなと思います。 一日も早い新型コロナウイルス感染症の終息を祈念いたします。 ■天然木で建てる家について詳しくはこちら ■徹底した木材管理について詳しくはこちら ■森づくり活動について詳しくはこちら ■熟練大工の匠の技について詳しくはこちら -
2020.04.27 /
第48回:レジリエンス
最近、住宅の新しい形として「レジリエンス住宅」が各社から提案され、渡邊工務店においてもその取り組みに注力しており、この機会にご紹介したいと思います。 レジリエンスという言葉は私たちの本業である住宅だけでなく、心理学や、経営学・組織災害論などの分野において、広く使われるようになりました。 今般の新型コロナウィルス感染症対策における国や地方行政の対応、渡邊工務店も含めた企業の対応、家族や個人の対応においてレジリエンスの思想は考えさせられるところがあり、商品の紹介を超えてお伝えさせていただきたく存じます。 レジリエンスとは、跳ね返り、弾力、回復力、復元力という意味を持つ言葉です。 ストレスと共に、物理学の分野で使われていた言葉でしたが、近年では個人・組織ともに通用する「さまざまな環境・状況に対しても適応し、生き延びる力」として使われるようになりました。心理学の分野だけでなく、組織論や社会システム論、さらにはリスク対応能力、危機管理能力としても広く注目される用語だそうです。 第二次世界大戦の、ある戦争孤児達の追跡調査において、レジリエンスの思想が広く知られるようになりました。過去のトラウマで生きる気力も萎え経済的にも精神的にも不幸な人生を送る人達がいる一方、それらの苦しみを乗り越え幸せで豊かな人生を送っている人達がいることが調査結果で明らかになりました。苦しみを乗り越えた人達には、どんな困難や逆境もそれに押しつぶされることなく「それらの状況に応じて生き抜く回復力」という共通の傾向があったそうです。 同じような観点で日本が世界中から注目されたのは、2011年の東日本大震災での出来事でした。 大地震による建物倒壊、津波、福島原発事故の災害に見舞われた後も暴動やヒステリックな行動は見られず、落ち着いて、整然と復興に取り組む日本人の姿は世界の人たちを驚かせました。 この様な予期せぬ天変地異や大災害に立ち向かうには国家としてのレジリエンスが必要不可欠だと考えられています。 現在、国際会議であるダボス会議等でもレジリエンスはメインテーマとして採択され、グローバル化が進む現代社会では、今回の新型コロナウィルス感染症のパンデミックだけでなく、かつてのリーマンショックのような経済や金融危機が起きれば、被害が瞬く間に世界中に広がってしまいます。 そんな悪状況の中でも困難を乗り越えて元に回復させる国こそ、強力なレジリエンスという国力を持っていると考えられます。 日本は新型コロナウィルス感染症対策で非常事態宣言が発令されており、個人の活動は様々な不便があり、企業の活動も制限されていて先々の不安は増すばかりです。 しかしながら、日本人にはどんな困難や逆境もそれに押しつぶされることなく「それらの状況に応じて生き抜く回復力」を持っていると考えられています。 今回を乗り越えれば国家、企業、個人のそれぞれのレジリエンス力は更に向上し将来の糧となると思います。 そうなることを信じてもう少し頑張ってみようと思います。 住宅の場合の「それらの状況に応じて生き抜く回復力」の意味でのレジリエンスとは、普段は省エネで快適な暮らしを楽しむことができるが、万が一災害に遭遇してライフラインを断たれても数日間は家で暮らせて災害復旧後も速やかに以前の暮らしに戻ることができる回復力のあることだと思います。 しかしながら、現在の様にステイホームとして自宅に家族で留まり、リモートワークで社会の回復を待っている状態が明けたとき、家族や、会社、社会との関わり方の価値観や行動様式に大きな変化があるように思います。 普段から家に家族といることを大切にし、リモートで仕事や社会とのかかわりもある程度できるようになると災害対策だけでなく、住宅のプランや通勤時間の対応等の心理的なレジリエンス力の高い家が求められるような気がしてなりません。(ご参考コラム:大きなダイニングテーブル) 渡邊工務店のレジリエンス住宅のご紹介 まず、先導事業取組事業として先週完成した、愛知県飛島村のお客様の建物です。 その時のチラシの裏面です。 (ご参考コラム:先導事業の取組) 次は、現在北名古屋エリアで建築中の街角モデルハウスです。 その建物は、上記先導モデル事業に準じた仕様に加えて建物基礎高を通常より高くし、給湯器などの設備機器もその高さに合わせて万が一、水の被害にも対応できるようにしてあります。 建物オープンの折にはお知らせさせて頂きます。 そして、新商品「マッハ空間」です。 全館空調マッハシステムを搭載し、日々の暮らしは快適です。太陽光パネルを屋根貸しスタイルで搭載していますので万が一のライフライン対策の非常用電源として安心して頂けると思います。 現在は世の中の価値観が大きく変化する時期のように思います。 レジリエンスという思想を、住宅を通して少しでも皆様にお伝えできれば幸いです。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら -
2020.04.14 /
第47回:マッハシステムのマッハとは
マッハというと、超音速とかジェット機をイメージしてしまいますがマッハシステムのマッハは少し異なります。渡邊工務店のマッハの正式名称はある頭文字の造語で「MaHAt」です。 フルワードで表すと“Multi air Healthy Air treatment” マルチ エアー ヘルシー エアー トリートメントとなります。マルチとは複数の接頭語で何が複数かというと、建物の各エリアにあるそれぞれの換気グリルとそれに対応する複数のDCモーターのことです。 空調室で管理された空気はその複数の換気グリルとDCモーターにより小温度差・大風量で建物内の空気の流れを維持管理できることとなり、建物の健康的な空気環境そのものを整えていくシステムを実現できることとなりました。 一般的にはエアコン、いわゆるエアーコンディショナーのコンディショナーをあえてトリートメントと表現したのは、ヘアケア製品の違いと同様で、表層的な空気の体感温度の管理だけでなく、室内全体の空気環境そのものの快適な性質を維持しようとするところに大きなこだわりを持っているからだと考えています。 エアコン1台で熱量の管理はするが、空気環境の管理はマッハシステムで対応しています。 温度の管理とともに、空気の質の管理、そしてその空気の流れの管理をしないと室内の隅々までの健康的な空気環境は維持できないと思います。そのことにトライしている全館空調がマッハシステムです。 このことは依然のコラムで紹介させていただいた空気の性質によるところが大きくかかわっています。 また、咳やくしゃみ等で飛散する1㎜程度の通常の飛沫は1分位で落下するそうですが、1㎜の100分の1以下のマイクロ飛沫(NHK NEWS WEBより)は空気がよどんでいるといつまでも室内に漂うそうです。 その対策には室内の換気が大切とのことですが、小温度差・大風量で室内全体の空気を入れ替えてゆくマッハシステムは室内全体換気にも大きく貢献できると思います。 最寄りの展示場や現場見学会のマッハシステムの建物で体感頂ければ幸いです。 ■エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら ■最寄りの展示場について詳しくはこちら -
2020.03.16 /
第46回:変わらないものと変わっていく物
今世は新型コロナウイルス感染被害拡大により健康被害だけでなく社会のシステムにも影響を及ぼし、大変な状況になっており一日も早い終息を願うばかりです。 私は齢64歳となり住宅の業界で40年近く住宅営業の仕事をしており、家を建てられるお客様と接する仕事をしておりました。 振り返るとバブルの頃やリーマンショックの頃など様々な好況不況の時期を経験してきました。 今思えば山あり谷ありでしたが、それぞれの時に建てて頂いたお客様の現在の暮らしや住宅の寿命という長期的な時間軸で見てみますと今回も乗り切れると信じております。 渡邊工務店は業歴113年となり一貫して天然木にこだわり、天然木の建物の素晴らしさを実現する為、 90余名の自社専属大工による高い技術に裏打ちされた施工体制を守っています。 また地域密着工務店として東濃桧の産地とも連携し、天然木の生産地を守りながら、天然木の建物素晴らしさを愛知県のお客様にお届けできるような持続可能な社会の実現の為のサスティナブルなビジネスモデルを大切にしています。 (蟹江住宅展示場リビング吹き抜け) しかしながら昔から続く伝統にとらわれることなく、天然木の良さを活かすような新しい取り組みにチャレンジしています。 最近の事例を2つご紹介いたします。 まず一つ目は『マッハ空間』という新商品を発売いたします。 お求めやすい価格にこだわりながらも国産桧の良さや、渡邊工務店が推奨する全館空調のマッハシステムを搭載し、国産桧にも、その建物内で暮らす方にも優しい空気環境を実現する建物です。 また、太陽光パネルを10年間の屋根貸しスタイルで搭載している為、太陽光パネル投資資金をほとんどかけないで将来手に入れることができることや、万が一の災害時の非常用電源として対応させるメリットも付加させています。 二つ目はハウスオブザイヤー3年連続受賞の栄誉にあずかったことです。 今回は「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2019」において、優秀企業賞、特別優秀賞、優秀賞、審査委員賞を受賞いたしました。 渡邊工務店は他の住宅会社に譲らない特色として113年の業歴、天然木へのこだわり、自社専属大工による技術・技能の伝承があります。 しかしながら、それらの良さを時代にマッチしてさらに高めるためのチャレンジもしています。 渡邊工務店の代表が常々申していることに「不易流行」があります。 俳句の世界の言葉らしいのですが「不易という永遠に変わらないこと(もの)を忘れず、流行という新しみや変化も同様に取り入れて行くこと」でその新らしみや変化もいずれ不易になっていくという、不易も流行もともに大切なことであり渡邊工務店の仕事にも通ずることであると理解させていただいています。 今回ご紹介した二つの事がまさに不易流行となればいいなと思いました。 エアコン一台で快適空間「マッハシステム」について詳しくはこちら