2021.07.29 /
第78回:丹波篠山市福住を訪ねて
兵庫県にある福住(ふくずみ)は国が指定する重要伝統的建造物群保存地区です。
昭和50年の文化財保護法の改正によって伝統的建造物群保存地区の制度が発足し、城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られるようになりました。重要伝統的建造物群保存地区はその一つで、我が国にとって価値が高いと判断された地区です。
愛知県も有松と足助が指定されていますが、福住は人影が少なく観光地化もされていなく、昔ながらの田舎の風情をより感じました。
福住を訪れようと思ったのは古い建物と街並みの日本の原風景が残っていることと、築100年を超える住宅を活用した宿泊施設があり宿泊の体験ができること、近くに日本六古窯(にほんろっこよう:日本古来の陶磁器窯の内、中世から現代まで生産が続く代表的な6つの窯の総称)の一つである「丹波立杭焼(たんばたちくいやき:兵庫県波篠山市今田地区付近で焼かれる陶器)」があったことなどです。
ホテル玄関前と街並み(福住宿場町ホテルホームページより)
福住宿場町ホテルはかつての旧家を利用した宿泊施設で、私は蔵を改装した部屋に宿泊しました。
壁の厚さの重厚感が凄く、暫く隣接の茶室と共に部屋の隅々まで観察していました。
重厚感たっぷりの蔵の扉
茶室が隣接しており、竹材などもあしらわれ床柱は桜の柱で網代天井(あじろてんじょう:スギやヒノキ、サワラなどを薄く剥いだ「片板(へぎいた)」を交互に編んだ天井)でした。
待合の梁
構造体は杉と松の柱が使用され、数年前にホテル施設にリフォームされたそうですが、構造体の柱は以前のまま活用されたとのことで、施工にあたった大工さんも当時の施工技術に驚いていたとのことです。
天然木の柱と腕の確かな大工さんの技術があれば、100年以上経っても構造体はびくともしないという証を体感してきました。
こちらの建物は江戸時代からの油問屋(あぶらどんや:江戸時代に油の販売を取り扱った問屋)で地域の名士(めいし:有名な人)の家だったそうです。
私が泊まった蔵以外にも味噌蔵やお祭りの道具を入れるための蔵があり、建築については当時最高の材料と技術が投入されたように思います。
宿泊ホテルの前に日本家屋の篠山暮らしお試し住宅「福住 わだ家」があります。
「福住 わだ家」は移住定住を考えていて、一定期間お試しで暮らしてみたい方や長期間の滞在で農業体験など田舎暮らしをしてみたい方の為の施設で、町おこしに一役かっています。
渡邊工務店もお試し住宅として体感ハウス「マッハ空間」 展示場をご用意しております。百聞は一見に如かず、百見は一行に如かずと申しまして、一つの体験に勝るものはないと思いますのでご興味のある方は是非ご利用お願いいたします。
宿泊ホテルの少し先にある日本家屋を再利用した介護施設です。
このように福住は伝統的建物群保存地区で、日本の古い建物や街並みに興味がある方にとっては、日本の原風景が楽しめるところとしてご紹介できると思います。
温故知新(おんこちしん:昔の事をたずね求めて、そこから新しい知識・見解を導くこと)の如く木造建築の素材・技術・伝統に興味があってこれから新築をご検討の皆様には、近くの重要伝統的建造物群保存地区を見学し、宿泊体験することも良いかもしれません。
ところで最近気になるCMがありました。
マクドナルドの50周年記念で「僕がここにいる理由」という、家族をテーマにした1分間のCMです。62才の宮崎美子さんご本人の演じる中学生は驚きの一言です。
CMの音楽は「もしも私が家を建てたなら、小さな家を建てたでしょう。大きな窓と小さなドアと、部屋には古い暖炉があるのよ」で始まる1970年代にヒットした「あなた」という曲です。
手嶌葵さんのカバー曲と宮崎美子さんの演技が秀逸で、自分自身の1970年代当時の思い出が蘇り、タイムスリップしたような懐かしさを感じました。
その後の50年後の孫と祖父母のシーンも、同じシニア世代の為かほっこりしました。
ビックマックを恋で食べられなくて、愛で頬張れるのは現代でも変わらないのかな。
50年前のオープン当時にデートでマクドナルドにいらしたお客さまの実際の思い出に基づいて制作されたとのことで、50年経ってもお孫さんやご家族と一緒に来ていただけるよう、これからもずっと訪れられる素敵な場所でありたいとの願いが込められているそうです。
渡邊工務店もご入居されたお客様から頂くお手紙で、素敵なご家族のストーリーを拝見させて頂く機会がありました。
創業以来114年でおよそ8,000棟を超える建物のお引渡しをさせて頂いていますが、それぞれのご家族の素敵な物語の舞台をお届けさせて頂けたことに深い感慨を覚えます。
これからもご家族の素敵な物語を紡いでいく舞台となる住宅をお届けできるよう精進してまいりますので宜しくお願い致します。
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